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魔王ちゃんは、ペンギン帝国を作りたい!  作者: 藤谷 葵
第一章

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第一話

2026年、初作品です。

コメディ路線を頑張ってみようと考えた作者が書き始めた作品です。

ゆるふわ?異世界ファンタジーで書けたらいいなと思っております。

 水族館の皇帝ペンギンの飼育を担当している俺は、水槽内をデッキブラシで掃除していた。外は真夏で暑いが、水槽内は涼しい。その理由は、皇帝ペンギンの為に水槽内にばら撒かれている氷のせいである。

 他のスタッフに「なんか悪いね」と優越感を感じながら、掃除をしていると、天罰が起きたのか氷で足を滑らせた。

 そんな俺は何かに頭をぶつけて意識を失った。


「……い。おい、起きろや兄ちゃん!」


 頬をぺしぺし叩かれる感覚がして、目を覚ます。すると、目の前にはペンギンの顔がドアップに飛び込んできた。


(……ああそうか……俺、水槽内で転んだんだっけ……)


 何が起きたのかを思い出し、ペンギンの顔を手のひらで押し返し、上体を起こす。すると、水族館の水槽とは違う風景。


「……えっと……ここどこだ?」


 状況を把握したつもりが、理解できない状況になっていた。そんな俺にペンギンが話しかけてくる。


「地球とは違う世界に飛ばされたみたいやな」

「そうなのか……って、ペンギンがしゃべってる!?」


 ペンギンは俺の肩を叩き諭す。


「ここは地球とは違う世界やで。現実を受け入れろ! 水面海斗!」


 ペンギンは俺の名前を口にする。


「な……なんでお前は俺の名前を知っているんだ?」


 質問すると、ペンギンは「ふっ」っと鼻で笑った。


「ワイや! ワイ! ペンギン太郎や!」


 その台詞に驚き困惑する。


「え? 水族館で俺が飼育していたペンギン太郎? お前まで異世界転生したのか?」


 俺がそう言うと、突然胸倉を掴んできて一言。


「ワレが氷で足を滑らせたときに、ワイと頭をぶつけたんだろうが! なんでワイまで異世界転生するんだよ! ワレ! ワイに何か恨みでもあるんか?」


 「メンチ切るペンギンは可愛くねえな」と思いながら、不思議に感じたことを質問してみる。


「……ペンギン太郎……性格変わった?」

「あ~? ワレは元々こうやで!」

「いや、全然違うだろうが! 元の世界のお前はもっと愛嬌があって可愛かった!」

「餌を貰うために猫被ってただけや」


 掴んでいた胸元を手放し、カラカラと笑うペンギン太郎。


「それじゃあ、そう言うことで。ほな、失礼します」


 ペンギン太郎は、背中を向けて去ろうとする。この世界に知り合いのいない俺は、ペンギン太郎に縋り付く。


「ちょ、待て待て待て! お前ひとりでどこに行く気だ?」


 質問すると、スッと指差す。その方向に視線を向けると、大きめの川がある。


「飯を喰うんや。海水魚じゃないけど、まあ淡水魚で我慢しとくわ」


 俺の手をバシッと払い、川に飛び込んだ。

 やるせない気持ちになった。元の世界で仲良くしていたのは偽りだったのかと……。

 俯いてそんなことを考えているときに、悲鳴が聞こえてきた。


「た、助けて!」


 助けを求める声の方向を見ると、ペンギン太郎が溺れている。俺は慌てて川に飛び込んだ。

 川の中は足がつかない。だが、ペンギン太郎は元の世界では泳いでいた。しゃべることができるようになった代わりに、泳ぐことができなくなったのだろうか? 人魚姫を思い浮かべながら、ペンギン太郎を抱えて川から這い上がった。


「はぁ、はぁ……」


 息を切らせているペンギン太郎。背中を擦ってやると、ペンギン太郎はまたもや俺の手を払い、肩を組んであくどそうにニヤリと笑みを浮かべる。


「……兄ちゃん、まあ、仲良くしよか~」


 変わり身の早さに、飽きれて溜息を吐いた。

読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
早速ありがとうございます。 催促したみたいで悪いですねぇ(揉み手) 面白かったです。 関西弁って(笑) ペンギンとのギャップがいいですね。 ペンギン太郎は言葉は悪いですが し 飼育員のお兄さん…
感想一覧
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