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「ねえ、親友記念に、何かやろうよ!」
さすが、若葉さんだ。
イベントごとにすぐ持っていく思考。確かに、ワクワクするけど。
「やっぱり、若葉さんって、そういう記念好きですよね。まあ、楽しそうなんで、参加したいですけど」
蕾ちゃんが、笑いながら言う。
「わ、私も参加したいです」
「なにやる~?」
若葉さんが不敵に笑う。
「あの、私、大きいっていう、新潟県の長岡市にある公園に行きたいんです」
「どんなところ?」
若葉さんが訊く。
「私、知ってます。四季折々の花や木があったり、若葉さんの好きなシジミチョウもきっといますよ」
「ほんと、行ってみたい」
若葉さんがわくわくした顔になる。
「じゃあ、あの、前に捕まえたシジミチョウもつれていきませんか?」
蕾ちゃんの提案。確かに、3人の最初の思い出だし、いいかも。
「じゃあ、それと昆虫の観察ノートと、カメラと、鬼ごっこ用のボールと、虫取り網と、」
「ど、どさくさにまぎれて、鬼ごっこをすることを約束させないで、」
フフッ。
「そうですよ。体力も重要なので、この際、」
蕾ちゃんがわざと張り切った声で言ってくる。
「無理です。嫌です」
藍色に染まる大空に3人の笑い声が響いた。




