プロローグ
今から150年ほど前。突如として地球を襲った正体不明のウイルス、通称『LBウイルス』。
このウイルスは人類にのみ感染していくもので、感染者の80%は著しい身体能力の低下を招き、日常生活すらも困難にさせた。
しかし、残りの20%の人間はこのウイルスと適合し、本来人間が持ち得ない特殊能力を得ていった。そのことからこのウイルスにはLB(Limit Break)ウイルスという名がつけられたわけである。
そして地球は、いつしかLBウイルス適合者のみが生存するようになり、特殊能力を得た人間同士の争いはそれまでとは一線を画すほどに広範囲に、大規模になっていった。
そんな地球の、人同士の争いを抑えるために生まれたのが『聖導騎士』だった。
これは、そんな聖導騎士を目指す1人の少年の物語。
ここは、日本は横浜。対外防衛の要衝として、聖導騎士連盟日本支部が置かれている。そして、聖導騎士を目指す学生が通う日本騎士学園横浜校もある。
今日は、学園の入学式。新たな若い騎士見習いが将来への希望に胸を膨らませて学園の門をくぐる。
そんな人の流れに身を任せ、門をくぐる1人の少年がいた。
「……うへぇっ、入学式だからって人多すぎじゃね?こんなに学園の関係者っていたのか」
そう1人呟く少年は、他の学生達と違い家族も周りにおらず、1人きりだった。
彼は、この世界では珍しく……いや、数例しかもはや存在していない不適合者の両親から生まれた突然変異の適合者だったのだ。
そのため、両親は彼が産まれて間もなく命を落とし、その後は日本政府に保護、という名の軟禁生活を余儀なくされていたのである。
そのため、1人きりで校門をくぐる彼は、入学式が行われる講堂ではなく学園長室へと向かっていた。
コンコン、とノックをすると中からは自分が聞き慣れている女性の声が響く。
「どうぞ」
「失礼します!!学園長先生にご挨拶のために参りました!!」
「ご挨拶ぅ?お前がアタシに?」
「はい!!これから3年間、お世話になります!!」
「はははははっ!!そんな固い挨拶、アタシとお前じゃ似合わんだろっ!もっと崩してくれていいから、いつも通り接してくれ」
「わ、わかった。これからよろしく、零那さん」
「こちらこそ、ようこそ騎士学園横浜校へ、歓迎するよ、迅」
騎士学園横浜校学園長であり、軟禁生活下にあった彼の生活をサポートし続けていた育ての親とも呼べる存在である、天堂 零那に挨拶を済ませ、彼……風早 迅は、また人の流れに合流し、講堂で始まる入学式へと向かった。
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