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「さあ、こっちのターンだ。」

思わず身の毛がよだつような殺気がこちらに向けられる。

「大氷雪星。」

再び寒波が復活し、建物の中に流れ込む。そして天井からはミシミシと軋むような音が聞こえる。

「えっ…!」

そして天井が破られ、現れたのは巨大な氷塊。さらにそれを取り囲む寒波も今までのもととは比べ物にならない。すぐに全身が凍りかねないその強さは、私の炎神の加護すら打ち消してくる。

「さてと、君はどうするかな?」

セルビア総監はその氷塊の上に乗り、私を見下ろす。

これを相殺するのは無理、防御も無理。回避しようにも、こんな一瞬で気を抜いたら凍ってしまう寒さでは、建物を全て押しつぶす大きさの氷塊を避けるのは至難の技だ。走るだけでは間に合わないし、寒波の防御にせいいっぱいで、体力を消耗したのも相まって、魔法も使う余裕がない。でも、氷はどんどんと私に近づいてくる。絶体絶命…。

「そこから、動かないでください!」

するとどこからともなく声が聞こえる。私がその声に驚いている間に、横から誰かが飛んでくる。その人は私を抱えて建物を突き抜け、地面に着地する。

その後すぐ、私の後ろの政府は崩れ去り、氷塊は爆発して辺り一面を凍らせた。

「ホットルーム!」

私は周囲を熱で包み込み、寒波を抑える。外全体に寒波が分散したからか、あの氷塊が無くなったからか、寒さはさっきに比べれば幾分もマシになった。

「間一髪でしたね…。」

後ろから助けてくれた人の声がしたので振り返る。その声の主は、サリネだった。

「サリネ!」

「偶然ここに来ていたんです。この感じだと、戦っているのはもしかして…。」

すると、私たちの前にセルビア総監が姿を現す。

「…タイミングが良すぎるな。運のいい奴が。」

「…やっぱり陸軍総監ですか。」

さっきの魔法で体力を消耗したのか、それともダメージの蓄積か、セルビア総監に若干疲れが見えている。

「ルナさん…。ここは私が前に出ます。なのでこの寒さを重点的にサポートをお願いします。」


するとサリネは特殊体質を発動して臨戦体制に入る。

「ブリザードレーザー。」

セルビア総監が飛ばしてきたレーザーをサリネは風の刃で打ち消し、そのまま急速に距離を縮める。

「!」

続けてサリネは槍を取り出し、息つく間も与えず、連続攻撃を仕掛ける。

「フレイムアロー!」

私はサリネの周囲の寒波を打ち消しつつ、適度に援護射撃を行う。

「…っ。」

セルビア総監は氷の槍を作り出し、サリネの攻撃を受け止める。サリネのスピードは目にも止まらぬ速さだが、セルビア総監はそれを受け止めている。私も氷を溶かそうと支援するが、避けられる。

…本当にセルビア総監の体力の底がしれない。もう随分と戦っているはずなのに、いまだに勢いは衰えず、なかなか決定打が生まれない…、一応一発いれたはずなのだが、結局サリネと渡り合えるレベルは残っている。ここからもう一回、もう一回だ。

「氷雪星。」

バーン!ドーン!

…お互いの攻撃が熾烈を極める。私は攻撃をなんとか相殺してサリネの負荷を減らしているが、一撃一撃の火力がとてつもない。スピードと火力、両方が合わさることでジリジリとこちらを削っていく。

ガン!

サリネが一度距離をとり、私の近くまで後退する。

「…結構ヤバいものを敵に回しましたね…。

まったく攻撃が通りません…。」

サリネはそう言う。落ち着いている様子を見せているが、声にはやや焦りが見える。

「…ふぅ。術解。」

サリネは一息つくと、術解を発動する。

「…行きます。」

サリネは再びセルビア総監に急接近し、再攻撃を仕掛ける。サリネの攻撃の密度は更に上がるが、セルビア総監もそれに追いつき、槍がぶつかり合う音が響く。

しかし、サリネの方はまだ体力が満タンということもあって、次第に速度ではサリネが上回り始める。サリネは元から速度に重点をおいたスタイルなので、あまり攻撃の重さはないものの、回数でダメージを次第に蓄積させていく。

「…しょうがない。」

すると、セルビア総監は冷気を周りに収束し始める。風がセルビア総監の方に一気に吹き込み、私は吹き飛ばされそうになる。

「まずい!止めないと!

乱炎流星!」

何かを準備している。私は止めるために魔法を放つが、あたりに収束した冷気が私の魔法を一瞬で凍らせる。サリネも近づくことができず、攻撃を入れられない。私たちが何もできないまま、魔法の準備が整ってしまう。

「フリーズビックバン!」

全方向に広がる回避不可能の一撃。氷の魔流は通ったところ全てを凍らせ、同時に発生した衝撃波と共に私たちに迫り来る。今までの寒波とは全く違うもの…、私でも溶かしきれないし、凍りつく瞬間に死んでもおかしくない。

「…くっ!」

サリネは急いで後退するが、間に合わない。

「…しまっ…!」

「ジェットヒート!

グランドヒート!」

あんなのを喰らってしまったら、即座に死へと一直線だ。

私は何とかサリネとセルビア総監の間に入り、グランドヒートで相殺しにいく。でも、火力は全く足りない。

「…しょうがないけど…、覚醒!」

私は全身に熱を巡らせ、覚醒状態に入る。でも、まだ足りない。

「グランドヒート・マックスッ!」

私はさらに火力を強める。もう引き下がれないし、引く気もない。

ここでサリネまで死なせるわけにはいかない。これ以上犠牲は増やせない!

「まだあああああああ!!!!!」

さらにさらに火力を上げる。体力もどんどん削られていく。しかし、まだまだ冷気は収まらない。

「…っあああああああ!!!!!!」

私は魔力操作も加えて、魔法の方向を一極集中させる。これによって魔流を効率化し、一点でぶつかるようにする。

「行けえええええええええええ!!!!!!!!」



そして、ガクッと寒波が弱まり、私のエネルギーを大量に溜め込んだ炎が、冷気を飲み込んで周囲に爆散する。凍っていたものは全て溶け、辺り一面が一瞬高温に包まれる。私の炎はすぐに消え去ったものの、焦げたものがところどころに残ってしまった。

ガクッ。

一気にエネルギーが抜けた反動で私は倒れ込む。しかし、攻撃が迫ってくる様子はない。

見るとセルビア総監もその場に倒れ伏していた。

「どうやら体力切れのようですね…。思っていた以上に限界が来ていたみたいです。

ルナさん…、本当に助かりました。ありがとうございます。」

「大丈夫…。めちゃくちゃサリネには助けられたんだし…、お互い様だよ。

…セバスチャンさんは守りきれなかったし。」

私は起き上がる元気も無く、地面に突っ伏したまま答える。

「…この感じは陸軍のクーデターなんですかね?執政総監殿は…、」

「…私たちが来たのは執政総監が殺害された後。ここで邪魔者をまとめて排除するって感じでこんなことに…。」

「…それでここまでの大損害ですか。人間って恐ろしいですね。」

サリネは今や崩れ去った政府の跡と、周囲の魔法の余波で損壊した建物を見ながらそう言った。


一応今年完結という目標を掲げましたが、まったく終わる気配がありませんでした。(主に投稿頻度のせいなのですが)

でも、そろそろかな…、ってところまでは来ましたので、そう遠くないうちに終わらせたいです…。

それでは、来年も。良いお年を!

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