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うるさいギャル娘

こちらの作品は、カクヨムさまにも掲載中です。

 オレは高校一年生。

 

 デブで陰キャだ。

 デブって言ってもかなりデブだ。

 自分でも暑苦しい。

 

 なので…

 休み時間は、ほぼじっと座っている。

 

 …だって動くのだりーし。

 

 今日も曇り空の外をひとりぼんやりと眺め

 る。

 あ、今日の雲はゆっくりと動いてるなぁ。

 台風が近づいているときは、あんなにモク

 モクと動いているのに。

 今日は、いつものオレみたいにゆっくりだ

 …

 

 あー早く帰って唐揚げ食べたいなぁ。

 マヨネーズもたぁ〜ぷりかけよう。

 バームクーヘンも食べよっと。

 

 でも…帰るのめんどーだな。

 

 なんなら学校に寝泊まりしたいくらいだな

 ぁ。

 毎日頭の中は、食べ物のことでいっぱいだ。

 

 

 

 

「ギャハハ、マジか‼︎それはウケんだろ」

 

 …うるさいクラスのギャル娘が騒いでいた。

 

 あー、いつもいつもいっつもうるせー。

 耳障りだ。

 

 しかもあんなにテンションアゲアゲで話し

 てたら腹が減るわ。

 かわいそうに。

 

 なんてオレはギャル娘を哀れんだ。

 

 

 とある日、オレはいつものように休み時間

 じっと座っていた。

 

 するとギャルがまたキャピキャピ話しなが

 ら歩いてきた。

 

「でさー、そいつがマジで…」

 ドスン。

 

 ギャルは、話に夢中でオレにぶつかって来

 た。

 

「きゃッ、…ごめんなさい」

「あ、うん」

 一瞬潮らしくなるギャル娘。

 しかし次の瞬間、

「ちょっと‼︎山田くんすんげーぷよんぷよん

 ってか、あたし今バインって跳ね返ったん

 だけどー‼︎柔らか〜」

「マジか⁉︎」

 キャハハ。

 と、

 …オレをいじるギャル娘たち。

 

「ってか、由奈子ー、山田じゃなくて田山だ

 よ」

「えー⁉︎ごめん田山くまー」

「くんじゃなくてくまかよー‼︎ギャハハ」

 

 

 …うるせーなー。

 ってかいつまでギャーギャーオレの前で騒

 いでんだよ。

 

 早く行ってくんねーかなー。

 こんなにうるせーと腹が減るわ。

 

 オレがムスッとしているとオレにぶつかっ

 てきたギャル娘由奈子とやらがオレがウザ

 がっていることに気付いてさりげなく歩き

 出した。

 

 

 あー…

 マジうるせーやつら。

 

 

 オレはギャルが嫌いだ。

 

 むしろ大嫌いだ。

 

 見るだけでうわって思う。

 …多分向こうもそう思っているに違いない。

 

 

 と思っていたのは、オレだけなんだろうか。

 

 休み時間またギャルがオレの元にやってき

 た。

 

 

「ほら、早く触らせてもらいなよ。マジ革命

 起きるから」

 なんて由奈子とやらが友達に言っていた。

 

 …何?

 オレを触るの?

 どこを⁇

 

 すると次の瞬間、

 由奈子とやらが

「ねー、触ってもいい?」

 と恥ずかしそうに聞いて来た。

 

 ズキューン

 

 お、オレは嫌いだったはずのギャルに…

 まさかのギャルに…

 一瞬心を奪われた。

 

「…あ、うん」

 思わず許可してしまった。

 オレー‼︎

 何許可してんだよー‼︎

 

 …

 

 すると恐る恐るギャルがオレの腕のあたり

 を触った。

 

「やっぱりすご〜」

 と言いながら目を輝かせた。

 

 すると友達のギャルも

「マジ⁈ならわたしもしっつれー」と言いな

 がら肩のあたりを触ってきた。

 

「うわっ、マジだ‼︎やべー‼︎革命起きたわ」

「でしょ‼︎‼︎」

「ガチだわー」

 

 …意味のわからない日本語でオレを触りな

 がらはしゃぐギャル娘たち。

 

 う、うるせー。

 

 …で、でも女子に触られるのって悪くない

 かもしれない。

 

 しかもこのギャル娘たちいい匂いがする。

 そして触り方が優しい…

 なんか心地いいんっすけど。

 

 

 

 

 それからよく由奈子とやらがチラチラこっ

 ちを見てくるようになった。

 

 …え。

 なんだよ…。

 

 

 よくわからないまま時は過ぎた。

 

 オレは相変わらずデブだ。

 

 

 休み時間いつも座っているがたまには、ト

 イレまで歩くオレ。

 

 ノタノタノタ

 

 あー、なんか今日廊下に人多くね…

 

 オレはカラダがデカイから道が狭い。

 

 こんなに狭いのにあのギャル娘たちは、楽

 しそうにキャピキャピ向こうから歩いてき

 た。

 二人でオレ一人分の幅だな。

 

 すると追いかけっこしていた男子たちが、

 ギャルにぶつかった。

 

 ほっそい由奈子とやらがこっちに吹っ飛ん

 できた。

 

 だからオレはすかさずキャッチした。

 

 廊下の壁にオレはぶつかったけど、なにし

 ろ肉だらけだから全然痛くない。

 

「はっ、ごめんね。大丈夫?」

 由奈子とやらがオレを心配そうに見つめた。

 

「あー、オレ肉だらけだから大丈夫」

 そういいたち上がった。

 

 すると友達が

「田山は、エアーバックだな‼︎グッジョブ」

 と言った。

 

 うん。

 なんとでも言えばいい。

 

 その言葉に由奈子も笑うかと思ったら、

「うん。ほんとにエアーバックみたいにどこ

 も痛くない。ありがとう」

 と、いつものギャルらしからぬ発言をして

 きた。

 それに、かわいいニッコリ顔も添えて。

 

 …

 

 オレは小さくうなずいてその場を立ち去っ

 た。

 

 続く。

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