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剣の天才の挫折転生  〜異世界を剣道で制覇した中2の話〜  作者: 那月雄介
第一の国ウルク第22朝廷
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名剣霧風

そして煙幕が晴れて数秒、イアスは最初の位置からほぼ変わらず、オーエンは姿すら見えなかった。

だが、イアスは弓を構えていて、まだ勝った気ではない様だ。オーエンの剣は先ほどの一撃によって生えた芝の中心に突き立てられている。その光景は中々美しかった。


そして数秒の後、イアスは急に、弓の上部分に火、下部分に氷を纏わせた。そしてそれは見事に長刀としても役目を果たせる状態になり、そんな状態の弓の上部分を自分の背後に振り下ろしたすると、弓は木に当たったような音と共に、空中で止まったそして、そこには球体と化した木が現れ、それをきっかけにオーエンが現れた。しかもその球体化した木は、まるでボクサーのグローブの様に、オーエンの手に纏われていたのだった。

そしてオーエンが口を開く。「さっすがイアス!俺の場所を見抜くとは」と弾んだ声でイアスに話しかけた。


それを聞いてイアスも、

「お前こそ、煙幕に隠れて自分が有利に動ける結界を張った。見事としかコメントできねぇな。」

と、口調はいつもと変わらないが、声のトーンは真面目な雰囲気を感じさせた。

そこからイアスは反撃に出た。今度は弓の下部分でオーエンに斬り込んだ。

しかし見事にオーエンはその攻撃を左手で防いだ。


そこで更にオーエンは、弓の上部分を右手で弾き、そこでできた隙をついて、イアスを蹴飛ばしたのだった。

そのせいでイアスは見事に吹っ飛ばされる。と言うのも、通常の人の脚力では無理に等しいのだが、オーエンのレアスキルは筋力強化と過程の短縮だった。それにより、人をけることで吹き飛ばすことなど容易いのだ。

それにより、少しながらイアスは吐血した。


それを見て彰人はとなりの騎士に、「こいつら殺し合ってるよな?」と問いかける。だが、いつものこととでも言わんばかりに医療班の方を何か言って指差したが、周りの歓声のせいでなんと言っているかわからなかった。


そしてイアスが立ち上がると、オーエンは再び消えていた。そして気づけば剣の突き立てある場所に現れ、その剣を抜いた。するとあたり一帯の芝生は収束し、それらは全てイアスの周りで回転し始める。

そしてその直後、その芝生は竜巻の様に回り始め、その中心にいるイアスはそこに閉じ込められてしまった。


そしてオーエンが

「今回は僕の勝ちだね。」

と言うと、竜巻は鎖の様な物に変形し、イアスを縛り上げた。

そしてオーエンはイアスの首筋に矛先を向けた。


その瞬間、審判から「そこまで!」と言う制止が入り、それと同時に、イアスの拘束は解けたのだった。

そしてオーエンは彰人に「どうだった?」と満面の笑みで問いかける。


そして彰人は数秒の後、「ヤバかった!」と答えたのだった。


その後イアスは不機嫌そうに立ち上がると、

「お前さ、近接仕掛けるだけで勝てるからってそればっか狙うなよ...」

と、オーエンに言うと、


オーエンは

「人のプレースタイルにいちゃもんをつけるのか?君は」

と皮肉の様に言うと、無邪気な笑みを浮かべ、審判をやっていた兵士に声をかける。そのおかげでこちらに小走りで向かってきた審判と彰人に笑みを浮かべ、イアスに

「竹刀。」

と半強制めいた言葉に笑顔を載せると、またもやどこからともなく竹刀が兵士と彰人の前に現れたのだった。

そこでオーエンが

「アキト、君の力を見せてもらうよ、転生者ってのは素質があるから呼ばれるものだ。どうせレジェンドスキルしか会得していないのだろうから、道中イアスに教えてもらうといい。だからここでは、単純な剣の腕を見せてくれ。」


と言うと、「構えて」とイアスが言った。

そして始め!の合図で剣道で培った実力を即座に発揮した。

相手の兵士が竹刀を振るより早く、剣道特有のステップを踏みながら、兵士の頭に見事竹刀を当てたのだ。

それに存外驚いた様子で、オーエンが口を開く。


「アキト!今のはなんだい!?なんのスキルも使ってないだろ?」

と言うふうに、好奇心丸出しで聞いてきた。


なので彰人も

「うん何も使ってないけど...」

と少し迫力に押され、声が小さくなっていた。


その一部始終を黙って見ていたイアスが

「おいオーエン、こいつになら例の剣合うかもしんねぇぞ」

と言うと、後ろにいた兵士に持って来させる様命令したのだった。


そんな時、彰人はそういえばと医療班のいた方向を見ると、出る幕がなかったので帰ったらしかった。

オーエンに剣道のことを話した結果、その剣が出てくるまで質問ぜめを喰らう羽目になったのだった。

そして剣が届き、イアスに渡されると、イアスは困ってるだろとオーエンを止め、彰人にその剣を渡した。


そして彰人はその剣を手に取り、そのことを確認したイアスは「振ってみな」と言ったので、彰人は言われた通りに振って見た。すると驚いたことに、彰人を中心に心地よい爽やかな風が吹き抜けた。


それを見てイアスは

「やっぱな」と独り言の様に呟き、

彰人に「その剣やるよ、俺使えねぇから」と言って、諸々の事情を説明した。


その話によると、剣の名前は、[霧風]。その剣は敵の軍を制圧した時に後方にいた物資輸送班がこれをあげるから命だけは。と言って逃げ出した時に獲得したもので、クラス的には2番目に凄いものらしい。所有権はそれをもらったイアスにあるのだが、イアスはもうこいつ[イアスの弓]があるから、と言ってずっと保管していたらしい。


そして彰人はその剣をもらって、その日は騎士団本部に泊まり、明日から5班に向かうことが決まったのだった。

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