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第21話妹とヘアスタイル

「おにーちゃん! ちょっといいですか?」


 妹が唐突に質問をしてきた。

 コイツは思いつきで行動することが多いがなんだか少し怒っているようだ。


「お兄ちゃん、なんで私が怒ってるか分かりますか?」


 よくある地雷質問をそのまま投げてくる妹、それはどう答えても納得しないんじゃないか……


「なんでですかね……?」


 俺は下手に出て答えを聞き出そうとする。

 さっぱり分からないのでしょうがない、いつもなら多少は怒りの兆候がある物だが今回はさっぱり分からない。


「まずお兄ちゃん、私の髪ってどうですか?」


 ん? 俺は質問の意図がさっぱりつかめない。

 髪って……髪の毛だよな……?

「ええっと……似合ってると思うぞ?」


 俺はできる限り無難そうな答えをする。

 しかし妹様はこの答えに納得がいかないようで顔をそらしている、少し赤い気がするが怒っているからだろうか……


「ふうん……私には似合っていると……で、これはなんですかね?」


 俺の秘蔵のフィギュアの写真をスマホに出す妹。


「おおい! なんでそんな写真持ってんだよ! 撮らせた覚えはないぞ! っていうか持ってるのさえ言ってないだろ!」


 酷い羞恥プレイだ……いつどこで撮ったのかはさっぱり分からないが確かに俺の持っているものだ。


「で、お・に・い・ちゃ・ん? この写真を見て何が言いたいか分かりますか?」


 なんだろう? 俺がフィギュアを持っていること自体に怒っている感じではない、ではなんだ?


「何でですかね……?」


「お兄ちゃん! 私は黒髪でロングです! なんで金髪ツインテールのフィギュアしか持ってないんですか!」


 えぇ……思った以上に理不尽だった……

 どうしろと……


「それはたまたま……」


「なるほど、ならたまたま私が明日ブリーチを書けてツインテールにしていたとしてもたまたまで済ますんですか?」


 それはどうかと思うのだが。

 コイツは日本人形のような顔立ちをしているので今の髪型が非常に似合っている。

 というか俺のためにブリーチかけるの? いくらウチが髪型自由の学校だからって……


「いや、今の髪型に合ってるしもったいないかと……」


 妹は少しにこやかな顔をしたがすぐプイと横を向く。


「そ、そうですか……それはそれでいいですけど、じゃあこの人形は廃棄でいいですか?」


「それはひどい!」


 人の密やかな趣味を暴き出してあげく捨てると! 酷くないですか?


「じゃあお兄ちゃんはこういう顔の方が私より好みだと! そう言うんですか!?」


「いやお前の方が可愛い」


「ふぇ!」


 何故か驚く妹、いや普通にお前のが可愛いと思うんだが……


「じゃ、じゃあ私をその欲望の対象にできると……!? それは素晴らし……けしからんですね!」


 何か所々発言がおかしい気がするのだが……

 でもまあコイツ可愛いしなあ、シスコンのサガだ。


「欲望云々は分からんがその髪、凄く綺麗だぞ。しっとりしててなんかこう……いい匂い……いやなんでもない!」


 妹がものすごく狼狽している、俺の本心を見透かされたのだろうか?


「しょうでしゅか! わかりましゅた!」


 妹がかみかみに答えようとする。


「とりあえず落ち着こうよ」


俺がジュースを一本差し出すとそれを飲んでぜえぜえと息をして落ち着く。


「そうですか。こういうものは教育上よくないと思うのですが今の言葉に免じて許しましょう……ところで……その……お兄ちゃんは」


 どんどん声が小さくなっていく、最後の方は聞き取れない。


「なんだよ? 俺の資産は捨てないぞ?」


 なんだか不服を言いたそうだがそれを飲み込むように深呼吸をしている。


「わかりましたよ……今は私の方がそれより大事ってだけでいいですよ」


 妹は不承不承部屋に帰っていった。


 ――妹の部屋


「お兄ちゃんは私が好き……おにーちゃんは私が好き……おにいちゃんはわたしがすきおにいちゃんはわたしがすきおにいちゃんはわたしがすき……ふぇへへへ……イャッホウ!!!」


 妹は兄の写真が一面に貼られた部屋で眠れない夜を過ごしたのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 軽快なやり取りとオチが面白いです。 [気になる点] パソコン周りの話が多いですね。 やや人を選ぶ傾向が、と思いましたが……そもそも、人を選ばない小説なんて無いですね。 個人的には楽しんでま…
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