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第1話、妹は最強の属性である。

「おにいち~~~~~~ん!!!」


 可愛い妹が俺に飛びついてくる。


「どした?」


「んーん、呼んでみただけ」


「しょうがないやつだな……」


 俺はシスコンである、それは自他共に認めるところだ。

 しかし、世間のみんなは妹を可愛くないと妄言をのたまう、全く許されない話だこんなに可愛い妹を前にして可愛くないなどふざけている。


「えへへ……」


 はにかむ妹を見て俺はとても幸せなんだと気付く、きっと妹がいるということはいないよりはるかに素晴らしい世界と思えるのだろう。


 妹は体型普通、髪はロングの黒、部屋着のスウェットを着て俺にじゃれついている。


「なあ……お前って可愛いよな?」


「え? どうなのかな?」


 本人にも分からないことが俺やまして他人に分かるはずがない、妹が可愛いという照明はできない、ならば主観が全てではないだろうか。


「よしよし可愛い可愛い」


「そうそう! お兄ちゃんとゲームがやりたかったんです、暇ですか?」


「お前のための時間くらい作るぞ」


 余裕である、世間の兄の大半は妹に割く時間があるか、無ければ作り出すだろう(個人の感想です)


「やった! ちょっと倒せないボスがいるんです! マルチしましょう!」


 そういってスマホを差し出してくる、コイツがやってるのは『シスター・クエスト』、ヒロインが全て妹という非常に世間受けが激しく良さそうなゲームだ。


 ちなみに俺が始めていたときに横から覗いてきて始めたのだが、コイツはもうエンドコンテンツ周回している、俺は先日ラスボスを倒したところだ。


 なおマルチとは説明するまでもないだろうがマルチプレイヤーのことだ、スマホゲーム黎明期と違ってある程度は実力が必要とされる、ガチャを引いて数字が大きいほど強いという単純なゲームシステムから随分進化したものだ。


「で? どのクエストだ?」


「新規配信されたやつです、『妹ピンチ! 幼なじみの魔手』ってやつです」


「ああ、始まってたな」


 このゲームの運営はよく分かっているらしく妹以外の性癖というか属性は全て敵として妹にたちはだかる。


 世間の大半を占めるであろうシスコンをターゲットにしたという開発陣はいい着眼点をしている、当たり前のことにあえてぶつかるというのは勇気の要ることだ。


 安直にマイナー属性たる幼なじみや姉、委員長をはじめとする数々の性癖を切り捨てたのは素晴らしい。


「よし、弱点属性風パだなそろえたぞ」


 妹にはさらに属性が設定されている、妹とはいえ差別化はちゃんと図られている。


「ねえお兄ちゃん?」


「どうかしたか?」


 なんだかいいにくそうに口をもごもごさせている、これはよくない、兄妹間に隠しごとがあってはいけない。


「なんかお兄ちゃんのパーティ黒髪ロングで胸が控えめっていうか……私に似てないの多くない?」


 なんだそんなことで悩んでいたのか、俺はシンプルな答えを話す。


「実際に妹がいるのにそれをゲーム内に求めないだろ? ちゃんと話せて触れる理想の妹がいるんだぞ、ゲーム内で似たようなキャラを使う理由は無いだろう?」


「そっか……そだね……ふふふ……私が理想……」


 何やら小声でささやいているがさっきまでの悩んだ風な感じはしない、多分俺の妹愛を理解してくれたのだろう。


「お兄ちゃん! ありがとね! 私幸せだよ!」


 そう言った妹の顔は、夜中だというのに太陽よりまぶしかった。

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