表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローズロワイヤル  作者: ガトリングレックス
9/18

第9話偽りと怒り

「えっ」


ヒーローである赤き戦士は崩れ落ちるジュンの姿に動揺する。

彼の変身名はファンタジー、様々なファンタジーロールプレイングゲームに登場するモンスターの力を使って戦うヒーローだ。


「ザーガ………先輩?」


その言葉をジュンは不思議に思いながら、セイギに支えられる。


「大丈夫かい? ジュン」


冷静で、しかも優しい口調でセイギはジュンに右肩を貸す。


「あぁ、なんとか」


その声を聞いた瞬間、ファンタジーの中で怒りが込み上げてきた。


「お前、ザーガ先輩のニセモノか!」


ジュンに勢い良く指を指す。

それは2人にとって赤き戦士の殺意が伝わる行動だった。


「なんだ。そのザーガって?」


「惚けるな! ザーガ先輩をどこへやった!」


気が高ぶっているファンタジーに、セイギはため息を吐く。


「君はなにか勘違いしている。ジュンはニセモノなんかじゃない。俺の大事な仲間。仲間をバカにされて、苛立ちを覚えない奴はただのクズだよ」


セイギの言葉に対して。


「ふざけるな! この戦いにおいて生き残れるのはただ1人! 友達ごっこしてる場合じゃないんだよ!」


ファンタジーの怒りが限界を超え、ソードガンから本の様な変身アイテムを引き抜き、再び装填する。


『ミノタウロス・マジック』


「君の言っていることは矛盾している。ザーガと言うヒーローを先輩と言っておきながら、それを否定するのかい?」


「黙れー!」


ソードガンを振りかぶった次の瞬間、セイギがノーモーションで一気に加速し、赤き戦士の頭部を殴り、電柱に吹き飛ばし、叩きつけると、まるでなにもなかったかの様にジュンに右肩を貸す。


「言葉には特別な力がある。人を動かす原動力にもなれば人を殺す刃にもなる。なんでもかんでもカッコつけて言うもんじゃない」


忠告と挑発が入り混じるセイギの言動。

ジュンはセイギの戦闘力が高いことを十分理解している。

あのマシンガンを思わせるハイスピードなパンチのラッシュ。

それに加え4つのフォームチェンジを持ち、どんな状況にでも対応できる。


「やめとけセイギ、あいつは俺達にとって弱者だ。いじめたらかわいそうだろ」


とりあえずこう言っておけば戦いをさせないで済む。

そう思いながら偽りの微笑みを浮かべ、言葉を述べる。


「それもそうだね」


納得したようにセイギはこれ以上の武力を行使するのをやめた。


後ろを振り返り、その場を離れる。


心の中でホッとするジュンにトランスフォームは大きなため息を吐く。


「ジュン、まさか戦いたくないから言い訳してるんじゃないだろうなぁ?」


その言葉にジュンは心臓の鼓動を加速させながらも、動揺する自分を抑える。


「トランスフォーム、ジュンはダークヒーローとしか戦わないんだよ。戦いたくないのは当然の事だ」


「マスターは極端だなぁ」


「正義には優しく、悪には厳しく、だよ」


セイギは左手の人差し指を立て、自慢げに上を指す。

ヒーローと思い込んでいるダークヒーロー。

ジュンにとって利用する対象であるこのダークヒーローに、徐々にだが仲間として見る目が変わっていった。


「クソ、クソ。ニセモノと黒い奴、絶対に俺が倒す」


ソードガンを強く握り締め、ファンタジーはジュンとセイギを追いかけようとする。


だが奪牙(ダッガ)がビルの窓を突き破り、ムチで攻撃を仕掛けられ、アーマーから火花が散る。


「グハッ!?」


「みつけたぞ………俺と戦え!」


デッキケースからカードを引き、左肩の装填口に入れる。


『アバター』


女性の機械音と共に4人の奪牙が現れ、一斉にカードを引き、左肩に装填する。


『ソード』


『ナックル』


『ソード』


『ハンマー』



モンスターを模した武器を装備した2人の奪牙。

その中で、2人の1人の奪牙はなんとスペリガンのビームサーベルを、また1人の奪牙は倒したヒーローの武器、ドリルが取り付けられたハンマーを持っている。


「「「「「さあ、楽しませてもらうぞ」」」」」


全員でファンタジーに襲いかかる奪牙、しかし。


『ドラゴン・ファイナルアビリティ』


ベルトの真ん中ボタンを押し、男性の機械音と共にファンタジーが赤きドラゴンのオーラを身に纏い、咆哮を上げ、火炎放射を奪牙に向け、撃ち放つ。


あまりの火力に奪牙達は大きく吹き飛ばされ、分身である3人。


「うん?」


燃える道中をよく確認すると、分身の1人を身代わりにし、攻撃を防いだ奪牙の姿があった。


消滅していく分身を左に投げ飛ばし、悪魔の様な高笑いを上げる。


「いいぞぉ、こんなにも殺しがいがある奴は久しぶりだ」


奪牙にとってこれは体を慣らすデモンストレーションでしかない。

左に首を回し、笑いながらファンタジーに急接近する。


ファンタジーは慌てて奪牙に向けてソードガンを連射するが、装甲は硬く、一気に距離を詰められる。


顔をひたすら殴られ、蹴り飛ばされる。


頭を抱えながら立ち上がり、変身ベルトから変身アイテムを引き抜くと、ホルダーからまた違う本型変身アイテムを取り出し、手動で開く。

そしてページを見せつけるように、変身ベルトに装填する。


『スライムターチェンジ』


体が青く変貌し、スライムを思わせる青いコーティングがさせれている。


「姿を変えられるのかぁ。面白い!」


楽しそうに笑いながら繰り出される奪牙の拳。

だがファンタジーの体は攻撃をすり抜け、逆に背中を斬られ、ヒビが入り、血が溢れ出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ