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ヒーローズロワイヤル  作者: ガトリングレックス
10/18

第10話 現実だと思っていた

激痛に「アァー」と唸りを上げる奪牙。

傷口から滴り落ちる赤い血液。


「やるじゃないかぁ。だがこれで終わりだ!」


デッキケースからカードを引き、左肩の装填口にカードを差し入れる。


『サモン』


女性の機械音と共に現れたのはコウモリ型モンスター、バトルバットラー。

目が3つのモノアイになっており、ファンタジーを睨みつける。


「やれ」


奪牙の指示でバトルバットラーは口を開き、超音波をファンタジーに向けて放つ。


するとファンタジーの肉体に異変が。


なんと体が液体状になり、バラバラに散った。


液体は音波を与えられると、衝撃に耐えきれず、波紋ができる。

ファンタジーの場合、超音波により波紋ができ、体の形を保てなくなったのだ。


「面白かったぞ。ハハ、ハハハハハ!」


勝利を確信した奪牙は、高笑いを上げ、その場を後にした。


その1分後、徐々に集まっていくスライム達。

次々に合体していき、ファンタジーの姿に戻っていった。

だが無傷で復活したわけではない。

超音波のによるダメージが、ファンタジーの変身を解除させる。

何回も咳をし、苦しくなって吐きそうになる。


「あいつ、つえぇー」


顔を歪ませ、足を引きつらせながら、ファンタジーはその場を立ち去った。


一方その頃、この町の小学校では、ジュンとセイギはダークヒーロー達を次々と倒していた。

2人の戦闘力は他のヒーローに比べ、明らかに高い。

しかし遠距離攻撃を持たないため、必ず肉弾戦になる。


「これで3人」


「すごいなー。俺はまだ1人だよ」


まるでゲームを楽しむようにダークヒーローを倒していく。

しかしそれはセイギにとっての感覚。

ジュンにとっては仲間であったジライヤ、メグが死亡した原因、ダークヒーローを倒すことで葬いになればと思っていた。


疲労が溜まり、変身を解除すると、ジュンは息を荒くし、壁を背にする。

その姿にセイギも変身を解除し、心配そうにこちらに近づき、見つめる。


「ジュン、俺は君がその力を使うことに抵抗があるんだよ。もしも変身をし続けたら………」


「安心しろ。俺はそんな野暮じゃない」


ジュンの返答に対し、トランスフォームが喋り出す。


「大いなる力は身を滅ぼす。ジュン、お前はそんな状態なのだ。無理して変身することで死んでもらっては悲しいだろう」


意外な返答に思わずジュンは苦笑した。



息を整え、小学校の2階へ階段を上ると、辺りを見回す。


「ジュン、敵がいるか教えてくれる」


「分かった。少し待っててくれ」


セイギの指示にジュンは耳をすませ、敵の動く音を確認する。


「1人いる。警戒を怠らないで行こう」


「オーケー」


静かに、なおかつ素早く対象に近づいていく。


「ここだ」


ジュンが指を指したのは4年3組の教室。

スライド式のドアに警戒し、中々侵入できない。

すると、その対象の方から廊下に出てきた。


20代後半の女性で、短い金髪、青くキリッとした瞳、美しい白い肌、黒い軍服を着ており、後ろには白く、Z(ゼット)と書かれている。


いきなりの事で動揺し、ジュンとセイギは変身ポーズをとる。


「待ってください! 私はあなた達と戦うつもりはありません!」


降参の意思表示に女性は目一杯手を上げる。


「静かにしろ。話があるなら教室でやってくれ」


「はっ、はい」


落ち着きを取り戻す姿に、セイギは苛立ちを感じる。

こう言うリアクションがでかい奴は嫌いな部類だ。

しかし人間関係を保つには我慢は付き物。

ここは耐えなければ。


3人は教室に入り、自己紹介を始める。


「私はカミーユ・A・レーランです。この戦いを平和的に終わらせるために仲間と共に来ました」


「俺はタナカジュン」


「俺はヤマダセイギ、よろしくね」


「はい、よろしくお願いします」


自己紹介が終わったところで、質問タイムに入る。


「カミーユは仲間がいると言ってたなぁ、何人いるんだ?」


「私を含めて13人です。私達はゲームマスターにとってイレギュラーな存在。なぜなら、ゲームマスター自身を倒そうとしているのですから」


カミーユは黒板に現在の状況をチョークで書いていく。


「まずこの戦いは現実の世界では特撮ヒーロー番組として放映されています」


「待って、現実の世界ってなに? 俺達にとってここが現実だよ」


セイギの正論に、ジュンは「確かに」と言いながら頷く。


「信じられないでしょうけど、あなた達は特撮ヒーロー番組のキャラクターに過ぎないんです。でもこの戦いによって、現実で事件が発生しています」


黒板に書かれたのは。


キャラクターが死ぬと、その役だった人間も死ぬと言うことだった。


「つまり俺達ヒーローが死ねば、誰とも知らない同じ顔の俳優が死ぬと言うことか…………」


「そうです。これは紛れもないテロ行為。ですが、ゲームマスターを倒すことで、この戦いは終息し、あなた達も自分の世界に帰れま………」


カミーユが続きを言おうとした時、セイギは突然机の上を左の平手で叩く。


「帰れる? 作品で俺は死んでるんだよ!もしゲームマスターを殺したとして、俺はどうなる? あの世に逆戻りだ!」


怒りをむき出しにするセイギに、カミーユは同情の目を送るしかなかった。


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