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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第三章
53/66

51話 ムンクさん

「どうこれ」

「…………」

「キュアァ……」


 その後、洞窟に帰ったチロは、持ち帰った『ムンクさん』をヒナとキングに見せていた。


 ふたりから返ってきた反応は、予想していた通りのものだ。


「……チロ、これは、食べられるの?」

「キュア、キュアァ……」


 ヒナは不安げな表情を浮かべ、キングも「なに拾ってきてんだよ」的な鳴き声を上げる。


 それはそうだろう。


 ムンクさんは、その名前どおりの外見をしているのだ。

 もしくは他に例えるとするならば、大昔に流行(はや)った『死にかけ人形』にも似ているだろうか。

 

 どちらにせよ『美味しそうな見た目』からはほど遠く、普段であれば一緒に夕食を食べていくゴーダも、よほどムンクさんを食べさせられるのが嫌だったのか、いつの間にか姿を消していた。


「……でもまあ、食べられるのかどうかは、実際に食べてみないと分からないしね」


 ひとり前向きなチロはそう呟くと、とりあえずはムンクさんのことを改めて観察してみることにした。


「…………」


 見れば見るほど『ムンクの叫び』にしか見えない。


 しかし、土から引き抜いた時に上げた絶叫といい、人の形を模した姿といい、分類的にはファンタジーものにありがちな『マンドラゴラ』とかそういう(たぐい)の不思議植物なのだろう。


 顔の部分さえ見なければ、色や根の分かれ方は朝鮮人参にも似ている。


「マンドラゴラなら、ゲームやアニメだと霊薬の材料とかに使われてるイメージがあるし、朝鮮人参も漢方の材料だし、やっぱりこれも干してから使う系なのかな……

 もしくは、養○酒みたいに酒に漬けておくとか……?」


 などと予想はしてみたものの、干している時間はないし、もちろん酒もない。


 なので、


「とりあえず、切ってみるか」


 結局は、そういうことになった。


 切った時にまた叫び出さないとも限らないので、ヒナとキングには離れた場所で耳をふさいでいてもらい、チロ自身は耳の中に『制土』で作った耳栓を詰める。


 そして同じく『制土』で作った陶製ナイフを構えると、ムンクさんの脚(っぽく見える部分)に刃を当て、そのままぐっと押し込んだ。


 すると────







 ブシュッ




 



「うわぁ…………」


 叫び声は、なかった。


 だがその代わりに、切り落とした部分や目と口の穴からは、ドロリとした黒い液体が流れ出してきたのだった。

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