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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第三章
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50話 奇妙な根っこ

「────イィィィィィヤァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「「……………………っ!!」」


 突如として響き渡った、もはや絶叫(シャウト)と言ってもいいような凄まじい悲鳴の前に、チロとゴーダは耳を抑え、為すすべもなくその場に(うずくま)った。


「アアアアアアアアアアアァァァァァァァァ…………」


 そして、数秒間もの間その悲鳴は続き、ようやく収まった時にはチロもゴーダも精根尽き果て、揃ってorzと地面に崩れ落ちた。


「はぁっ、はぁっ……い、いったいなんだったんだ、今のは」

「た、たぶん、こいつが原因だと思います……」


 荒い息を吐くゴーダに、チロは目の前に落ちていたもの(・・)を拾って差し出した。


 それは、先ほどチロが地面から引っこ抜いたばかりの植物だ。


「これが……? って、なんだこりゃ」

「ええ……まるで人間みたいですよね」


 ゴーダとチロは、顔をしかめながらその植物を見つめた。


 チロが引き抜いたそれは、葉っぱの部分こそ普通の植物のように見えたのだが、土に隠れていた根っこの部分は人を()したとしか思えない形をしていたのだ。


「人間というか…………まあ、人間なんだが、どう見てもアレだよな」

「ええ、アレですね……」


 しかもその植物の根は、ただ人間の姿に似ていただけではなかった。

  

 まるでゾンビのようにやせ細った顔と体。

 大きく開かれた目と口のような穴。

 そして、顔の部分を左右から挟み込むように添えられた手。


 それはまさしく……


「「ムンクの『叫び』……」」


 全裸かつ頭部はパイナップルヘアーになっているものの、その姿はあまりにも有名な絵画の登場人物に酷似(こくじ)していた。


「お前……それ食うのか?」

「……せっかく採取しましたし、一応は」


 どう見てもその植物────『ムンクさん』は、うまそうには見えなかった。


 しかし、これまでに毒キノコを食べ、虫を食べ、ヒルヒルですら一度は口にしてみた経験があるチロだ。


 手に入れた食材(?)を、食べることもなく捨てるという選択肢は、彼にはなかった。

 

「そうか……食うのか……」


 ゴーダはその無駄なこだわりに若干引きながらも『こいつ、ほんとに(たくま)しくなったな……』と、また少しチロのことを見直したのだった。


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