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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第二章
43/66

42話 みんなでごはん

「────うまいっ!」


 剛田が、角ウサギの丸焼きを豪快に(かじ)りながら、そう叫んだ。


「すごく、おいしい……っ」


 ヒナもまた、小さく切り分けた角ウサギの肉をもぐもぐと噛み締めながら、目を輝かせてて喜んでいる。


「キュアッ! キュアァッ!」


 そしてキングも、ようやくありつけた食事に、喜びの声を上げていた。


「うん、うまい」


 三人の反応に満足しながら、チロもむしゃむしゃと肉を頬張る。

 角ウサギの肉はやはりうまいが、今日の味は格別だった。


 とくに味付けや調理法を変えたわけではない。


 いつもと同じように、焼いて塩を振っただけだ。


 それなのにいつもよりもうまく感じるのは、やはり大人数で食事をしているからだろう。


(自分が作ったものを美味しいって言ってもらえるのって、こんなに嬉しいんだな……)


 剛田や、ヒナの笑顔が(キングの表情は変わらないので除外)チロに料理を作る喜びを教えてくれた。

 そしてその喜びが、食事の時間を何倍も楽しくさせてくれていた。


「しかし、このでかい水晶みたいのが、全部塩だとはなぁ…………」

「驚いたでしょ。俺も最初はただのインテリアだとしか思ってなかったんですけど、舐めてびっくりですよ」

「塩って、すごいんだね、おいしいんだね」

「あっ、ヒナ、これも食べてみなよ。シトラ草って言うんだけど、さっぱりした甘みがあってうまいんだ」

「たべるっ…………もぐもぐ…………あま、うま………」

「あっ、いいな。俺にもくれ」

「キュアァッ」

「はいはい、ふたりともどうぞ」


 会話も弾み、和気あいあいと食事は進んでいった。


 そして、食べ終えた頃には全員が微笑みを浮かべ、満足げな息を吐いていた。 


「ふ~っ、食った食った。こんなにうまいもの食ったのは、こっちに来てから初めてだな」

「……むふ~、ちょっと、食べすぎた」

「キュアッフ」

「水飲みますか? 口の中の脂が、ちょっとはすっきりしますよ」

「おう、くれ」

「のむ」

「キュア」


 チロは制土で湯呑を三つと皿を一枚つくり、湧水を汲んで渡した。

 

「うまっ! なんだここ、塩があるだけじゃなく水もうまいのか!」

「水、おいしい」


 剛田とヒナが、水のうまさに驚きの声を上げる。


「あれ、先輩って、浄水スキル持ってないんですか?」


 そうだとしたら、これまで大変だったろうな、と思ってチロは聞いたのだが、


「浄水? スキル? なんだそれ」

「え?」


 剛田から返ってきたのは、スキルそのものに対する疑問だった。

 

「まさか先輩…………自分のステータス見てないんですか?」

「ステータス? …………ステータスって、なんだ?」


 どうやら剛田は、そもそもステータスの存在すら、知らないようだった。

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