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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第二章
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39話 予期せぬ再会

「…………」

「…………」


 見上げるチロと、見下ろす巨人。


 ふたりは、無言で視線を絡ませていた。


「お父さん」


 ヒナだけが、笑顔で巨人に向かって手を振っている。


 やはり、この巨人がヒナの父親で間違いないようだ。


 巨人は一度ヒナに視線を合わせて目元を緩めたが、振っていないもう一つの手がチロと繋がれていることを確認すると、またチロに視線を戻して「グルルルルゥ……」と低い唸りを上げた。


 明らかに、不機嫌そうである。


「あ、あの、お、俺、チロって言います。この先の洞窟に住んでて、そこでヒナと、いや、お嬢さんと偶然に出会いまして、それで…………」


 チロは、デート中に彼女の父親にばったり出会ってしまったティーンエイジャーのように焦りながら、しどろもどろに説明をした。


 ヒナの父親に会って話をすると決意した時の覚悟など、もうどこかに吹っ飛んでいる。

 

 生物としての絶対的な格の違いが、チロを圧倒しているのだ。


 チロの説明を聞いた巨人が、カッと目を見開いた。

 圧力がさらに高まり、チロの体を硬直させる。


 そして、動けなくなったチロに向かって、巨人が足を踏み出した。


 ありえないことだが、巨人が一歩近づくたびに、地面が揺れているような気がした。


 実際に揺れているのは、チロの心と体だ。

 逃げ出したい気持ちと、留まらなければならないという気持ちが、体を揺らしているのだ。


 巨人の一歩は大きい。

 すぐに、チロに手が届くところまで近づいてきた。


 危険を感じたキングが、ピカッと目を光らせる。






 だが────巨人は、止まらなかった。






 ピカッ、ピカッと、何度か光が放たれるが、やはり効果はない。


 そのまま近づいてきた巨人の両手が、チロの体をガッシリと掴まえた。


 力を込められたら、全身の骨が砕けてチロは死んでしまうだろう。


「お前……」


 巨人が口を開いた。

 その巨体にふさわしい、重くて低い声だ。


 だが不思議と、チロにはその声に聞き覚えがあるような気がした。


「お前、もしかして…………田中か?」


 そして次に放たれた言葉で、チロの両目は驚愕に見開かれた。


「えっ…………まさかその声……………………剛田先輩?」


 自分のことを前世の名前で呼ぶその声は、間違いなく最後の晩餐(ばんさん)で一緒にフグを食べた会社の先輩、剛田のものであった。

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