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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第二章
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36話 仁義なき光

「やめてっ!」


 ヒナが大きな声を上げたが、興奮したゴルジたちは止まりそうにない。


 チロはヒナに危険が及ばないように、さっと距離を取った。


「チロっ!」


 ヒナが、もう一度声を上げる。


「大丈夫だから、こっちに近づかないでね。あと、目を(つぶ)ってて」 

「でも……」

「早く目を瞑って、俺を助けると思って!」


 なにやら必死な表情で言うチロを信じ、ヒナはギュッと目を瞑った。


「ありがとう!」


 チロの声が聞こえ、「てめぇっ!」「なめやがって!」といったゴルジたちの怒声もそれに重なる。

 

 その直後────




 ピカッ!




 という雷光(らいこう)のようなものを、ヒナは(まぶた)ごしに感じた。


 そしてそれと同時に、怒鳴り散らしていたゴルジたちの声が、嘘のように静かになった。


 何が起こったのかと、ヒナは恐る恐る目を開く。


 するとそこには、地面に倒れ伏しているゴルジたちと、その前にただひとり立つ、チロの姿があった。


「チ、チロ……」


 震える声で、ヒナはチロの名を呼んだ。

 

 ゴルジたちが、死んでしまったと思ったのだ。


 彼らは────その中でも特にゴルジは、族長である父親の腹心であり、ヒナの護衛を任されている存在だ。


 ヒナに対しては、あくまでも『尊敬する族長が大切にしている娘』という、一定の距離を(たも)った接し方しかしてこないため、仲が良かった訳ではない。


 むしろ他のゴブリンよりも長く一緒にいるのに、それでも『ヒナ』というひとりの存在としては見てもらえない分、苦手な存在ですらあった。

 

 しかし、だからといって嫌いだった訳ではないし、ましてや死んでほしいと思ったことなど一度もない。


「大丈夫だよ、ヒナ。みんな、痺れてるだけだから」

「え……っ」


 青ざめて震えるヒナに、チロが優しく声をかけた。


 倒れているゴルジを覗き込んでみると、確かに生きている。


 白目を向いてピクピクと痙攣しているが、息はしていた。


「……よかった。でもチロって、すごいね。ゴルジは、部族のなかでも、父さんの次に強いのに」

「俺は何もやってないよ。すごいのはこいつさ」


 チロが、頭の上で「キュアッ、キュアッ」と勝ち鬨を上げているキングを指差して言った。


「キングが、やったの?」

「ああ、キングには、目から放った光で相手を麻痺させる特技があるんだ」

「そうなんだ……キング、ありがと。チロを守ってくれて」


 ヒナが礼を言うと、キングは当然だとでも言わんばかりに「キュアァッ」と一声鳴いた。


「けど、どうしようかな、このひとたち。放って置いたらそのうち麻痺は解けると思うんだけど、そしたらまた怒って暴れそうだしなぁ」

「そうだね……じゃあとりあえず、縛って、おこうか」

「…………」


 やはり、ヒナは外見に似合わずアグレッシブなんだな、と思いつつ、チロは言われた通りに麻痺したゴルジたちを植物の蔓で縛り上げることにした。

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