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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第二章
36/66

35話 緑色の893

「さ、お嬢。帰りますぜ」


 数匹のうち、他の者よりも一回り大きいゴブリンが前に出て、近寄りながら声をかけてきた。


「…………(ふるふる)」

 

 それに対し、ヒナは無言で首を振りながら、チロに体を寄せる。

 柔らかいものが腕に押し当てられ、緊迫した状況にも関わらず、チロは少し喜んだ。

 

「なんでぇ、お前は」

 

 そこでようやく気づいたかのように、ゴブリンがチロに視線を合わせてきた。

 実際、ヒナが寄り添うまで、一見して貧弱そうなチロなど眼中になかったのだろう。


「俺は、チロって言います。この洞窟に住んでる者です」

「そうかい。どきな、チビ(・・)


 聞かれたので自己紹介をしたが、返ってきたのはあからさまな言い間違いと恫喝だった。


「だ、だけど、ヒナも嫌がってますし、無理やりに連れてくってのは……」

「あぁっ!? てめぇ、なにお嬢のこと呼び捨てにしてやがるっ!」

「っすぞコラァ!」

「バラされてぇのか!?」


 なんとか話し合いに持ち込もうとしたが、ヒナの名前を口にしただけで、後ろに控えていたゴブリン達から怒声があがった。


 言い回しといい、沸点の低さといい、まるでVシネマに出てくるヤ○ザである。


 緑色で全裸のヤ○ザだ。


「お前ら、そこまでにしとけ」


 怒鳴り続けるゴブリン達を止めたのは、チロのことをチビと呼んだゴブリンだった。

 もしかしたら、若頭(わかがしら)的な立ち位置のゴブリンなのかもしれない。


「なぁ、チビさんよ。見ての通り、俺の部下はあんまり気が長くない。素直にそこをどいてくれねぇかな。お嬢の前で、血は流したくねぇんだ」


 若頭は静かな声で、しかし明確な脅しを口にした。


 本気であることは、睨みつけてくるその目を見れば疑いようもない。


 すぐに実行しないのは、チロのすぐ横にヒナがいるから、という理由だけだろう。

 

「……ゴルジ、チロにひどいことしたら、許さないから」


 一触即発の空気が流れる中、それを破ったのはヒナの声だった。


 若頭────ゴルジと呼ばれたゴブリンが、驚いたような顔でヒナを見る。


 そして、何かを言いかけた口をグッとつぐむと、チロに視線を戻し、これまでにないほどの強さで睨みつけてきた。


「てめぇ……お嬢を(たぶら)かしやがったな!」


 ゴルジが、牙を剥き出しにして叫んだ。


 それに呼応するように、手下のゴブリン達も牙を剥き、チロを威嚇し始める。


 どうやら、戦いは避けられそうにないようだった。



 

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