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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第二章
25/66

24話 金色トカゲ

「キュアァッ」

「…………」


 鳴き声をあげる金色トカゲを、チロは無言で見つめていた。


 その頭にあるのは、「こいつ、俺のデザートを食いやがってっ!」でも「爬虫類って、よく見るとつぶらな瞳をしているよな」でもない。



 肉!



 その一字である。


「キシャァ」


 そんなチロの欲望を察知したのか、金色トカゲが警戒するような鳴き声を上げた。


 しかしどういう訳か、逃げだそうとする気配は見られない。


 そんなら捕まえてやろうと、チロが手を伸ばしたその瞬間────



 

 キランッ




 と、金色トカゲの両目が怪しげな光を放った。






 ……………………






 ………………






 …………






 ……が、何も起こらなかった。


「?」

「?」


 チロと金色トカゲは、見つめ合ったまま互いに首をかしげる。


 

 キランッ



 もう一度光る。



「…………」

「…………」



 やはり、何も起こらない。


 ガシッ

 

「キシャァ! キシャァ!」 


 一瞬警戒したチロだったが、特に害は無いようだと判断し、金色トカゲを鷲掴(わしづか)みにした。


 鳴き声を上げながら金色トカゲが暴れるが、体長15センチほどで力も強くはなく、チロの貧弱な握力でも十分に拘束することができた。

 

 チロはもう片方の手でナイフを持ち、すぐに止めを刺そうとするが…………


「キュァァ……キュァァ……」

「くっ」


 急に哀れな声を出し、潤んだ瞳で見つめてきた金色トカゲに、その決意が鈍る。


「キュ……キュァァ……キュァァ……」

「うぅ……っ」


 こんなあからさまな命乞いをされて、怯まない人間がいるだろうか。

 

 チロは生まれ変わってゴブリンになったが、だからといって人間性まで消えている訳ではないのだ。


 肉は、食べたい。


 だが、虫でタンパク質を補給できている今、肉は食べなくても生きていけるのが現状である。


 肉を食べたいというのは、あくまでもチロの嗜好(しこう)に過ぎないのだ。


 相手にも戦う意思があるなら話は別だが、必死に命乞いをする小さな生命(いのち)を自分の欲求のためだけに奪うことは、チロにはできなかった。


「はぁ……っ」


 力なくため息を吐くと、チロは金色トカゲを開放した。


「…………行けよ、俺の気が変わらないうちに」


 そして『一度言ってみたかった台詞(セリフ)シリーズ』の一つをクールに囁くと、自分を見上げてくる金色トカゲに背を向け、食べ損ねたシトラ草を()み始めるのだった。


『一度言ってみたかった台詞シリーズ』より一部抜粋。


・大将、美味いやつ適当に握って。

・ヒャッハーッ!!!!(全力で)

・話は弁護士を通してくれ。

・竜巻旋○脚!(動きも完全に模倣しながら)

・ダメだって、俺たちは兄妹なんだぞ!?


ほか多数。

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