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ゴブリン飯  作者: ブランケット少佐
第一章
11/66

11話 敗北からの奮起

 ────結論から言うと、チロは負けた。

 

 角が生えているとはいえ、ウサギ相手に完敗である。


 槍の穂先(ほさき)を角で砕かれ、そのまま串刺しにされそうになったので、ほうほうの体で逃げてきたのだ。


「くそ……っ、せっかく肉を食えるチャンスだったのに……」


 棒だけになってしまった槍を地面に放り投げ、チロは地面に寝転がった。


 そして、頭の中でシュミレーションしてみる。

 だが、何度やってみても、角ウサギに勝てるイメージは湧いてこない。


 角ウサギは、素早かった。

 

 目にも止まらぬ速さで動いた。


 もし角ウサギが最初に狙ったのが、槍の穂先ではなくチロの体だったなら、為すすべもなく串刺しにされていただろう。


 ぶるり、と体を震わせ、チロは上体を起こすとあぐらをかいた。


 肉は食いたい。

 死ぬほど食いたい。

 

 が、勝つ算段もなく挑んでも、ただ犬死にするのがオチだ。


「くそっ……」


 もう一度吐き捨てると、チロは確保しておいたドリンギを枝に刺し、『着火』で火を起こして炙り始めた。


 もうこの『毒キノコ焼き』には正直飽きたが、腹を膨らませなければいいアイデアも浮かんでこないだろう。


 ジュクジュクという音とともに、ドリンギから毒々しい汁が溢れ出す。


「あっ!」


 そのドリンギ汁を見た瞬間、チロは声を上げて立ち上がっていた。


 毎日のように食べていたから忘れていたが、ドリンギは毒キノコ(推定)なのだ。


 そしておそらくは、焼いた時に滲み出てくるその汁も、それなりの毒性を持っているのだと推測できる。


 ならば…………


「もしかしたら、この汁を槍に塗れば、かすり傷でも角ウサギを倒せるかも知れない……?」


 絶対とは言えない。

 

 もしドリンギが、チロが思い込んでいるだけで実は毒キノコなどではなかったとしたら、そもそもの計画が破綻してしまう。


 そして、もしドリンギに期待通りの毒性があったとしても、チロの戦闘能力では、角ウサギにかすり傷ひとつ負わせられない可能性だってある。


 前回の戦いでは、まさにそうだったのだ。


 それでも、


「やってやる…………」


 チロは、静かに闘志を(みなぎ)らせ、拳を握った。

 

 前世では、本気になれることを見つけられなかった。


 何にも挑戦せず、何も成し遂げず、あげく『成長阻害』などというバッドスキルを今世で付与されてしまった。


 だからこそ、前世と同じ間違いを繰り返すわけにはいかない。


 楽な方に逃げてばかりいては、結局何一つ手に入れることはできないと、チロは身を持って知っているのだ。

 

 たかが肉、されど肉。


 今のチロにとって『肉を食う』というのは、命をかけても惜しくないほどの、立派な目標なのだった。

『角ウサギ』は、ロップイヤーに角が生えたような見た目です。

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