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歯車世界3

魔王バルガスと、最強戦士であるナナシの戦いは二日に及んだ。

バルガスは全身に9999のダメージを負い、ナナシはバルガスから見て一つのダメージも負う事なく、笑っていた。

バルガスはそんな男を擦れ行く視界の中で見ながら、これで楽になれると考えていた。

見逃してくれと命乞いをした所で男は、見逃しはしなかった。死んだフリをした所で男は何度もバルガスを立ち上がらせた。

手負いの獣。窮鼠猫を噛む。そんな最後にして最強の一撃をナナシは楽しみに待っているようだった。そして今、その一撃を放ったバルガスは床を舐めている。

勿論、実際にベロベロしているわけではなく、力を出し切った事で、一歩も動けない状況で床に突っ伏していた。

「次の最強は・・・まだまだ、この世界にはありそうじゃのう」

戦いを終えたナナシは、倒れるバルガスを見ながら刀を鞘に納めた。

ナナシがバルガスにトドメを刺す事はないと、バルガスは知っていた。知っていたというよりは、二日間戦った中で得た、ナナシに対する信用にも近い感覚だった。

ナナシは最強と戦う事を望む戦闘狂であっても、無抵抗の相手をわざわざ殺すような殺人狂ではない。戦えない無抵抗には、興味がないと言い換えてもいいだろう。

事実ナナシはバルガスの思惑通り、バルガスにトドメを刺す事なく去っていった。

「・・・」

命を取り留めたバルガスは、ゆっくりと目を瞑る。

琴美ちゃんの限定ガチャ期間の間に必ず復活する。

バルガスは心に誓いながら、深い眠りに落ちた。



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