西の魔女とロリッ子戦士6
祠を進んでいると、先程までとは比べ物にならない、耳を劈くような爆音が響いた。爆音とほぼ同時に突風が吹き荒れ、飛んでき小石がワタルの鎧に直撃した。
ワタルは5のダメージを受け、表情を曇らせる。
爆音による衝撃破は、化け猫となったオーデとエインが遮ったお陰で、後衛にいたワタルには殆ど影響がなかったものの、僅かな隙間を縫って飛んできた石までは、どうしようもなかった。
「今のは、かなり凄かったですわね」
「・・・フレイヤ様、強い獣のニオイがするニャ」
「えぇ、わたくしのセンサーにも、バリバリに引っ掛かっていますわ。これは、神具を護る守護者クラスですわね・・・」
宝というのは、それが宝と呼ばれている以上、宝自体が権力の象徴や強さの証明になる事が多い。フレイヤが持つ多くの宝も例に漏れる事はなく、宝の数だけ象徴や証明を奪い、否定してきたともいえる。
奪い否定したという事は、フレイヤがそれがけ多くの強者と相対したという事であり、フレイヤの持つ嗅覚は、オーデやエインに頼らずとも、正確で違える事はなかった。
「やれ、この世界はパラダイスじゃの」
爆音による風が止み、老人のようにしゃがれた男の声が届いて来る。
隻眼隻腕の戦士が、ゆらゆらと揺れ動きながらこちらに向かって歩いて来ていた。
戦士は傷だらけで満身創痍に映ったが、それが普通の状態である事にフレイヤが気付くまでには、少しの時間も掛からなかった。この状態であるからこそ、より強い力を発揮する狂戦士といった所だろうか。
「強さもさる事ながら、どうやらこの世界の住人ではなさそうですわね」
「仲間という事?」
「かもしれませんが、例え仲間であったとしても、戦闘を避けて通る事は、出来無さそうですわね」
「最強はズバリ、真ん中の赤い女であるな」
戦士ナナシは、無刀の刃先をフレイヤに向け断言した。




