西の魔女とロリッ子戦士4
ラクイアから西に五キロ程進んだ先に、西の魔女オリビアが住む祠は存在する。この祠は歯車世界において最も西に存在しており、極西の祠。もしくは最西の祠とも呼ばれていた。
レベリングを終えた勇者ワタル一向は、西の魔女オリビアと会う為に、西の祠の前まで来ていた。
ラクイアの住人が魔女オリビアを神として崇めているからか、祠の周囲には様々な供え物がしてあった。そして、供え物の奥には先の見えない階段があった。
「この階段の先にオリビアとやらがいるらしいですけれど、宝の香りはします?」
「何かはあるし、いるのニャー。でも、宝かと言われると微妙なのニャー」
「あってもきっと、フレイヤ様にとっては価値のない宝なのニャン」
「であればとても残念ですが、可能性がゼロというわけでもありませんし、行くとしましょうか」
「ニャ」
フレイヤは二匹の猫を肩に乗せ、祠にある階段を下っていく。
フレイヤは祠の状態を何も気にする事なく、階段を下って行ったが、奥からはドンドンと、打ち上げ花火のような音と振動が響いていた。
祠の中で異常が起きているのは明らかだった。
「滞在するマナが大きく乱れ動いているから、西の魔女が暴れているのかもね」
「うん」
「でも、このマナでフレをどうこう出来るとは思えないから、暴れ狂っていたとしても何も問題ないと思う。特にワタルはフレのお気に入りみたいだし、音や衝撃にビビる必要もないわよ」
異常ともいえる音と振動をレーフェスは冷静に分析しワタルを励ました。
「うん。分かってる」
「そう。なら行きましょう。あまり遅れるとフレの機嫌を損ねるわ。私としてはそっちの方が怖いもの」
「確かに」
音や振動に加え、祠の薄暗い不気味さに内心ビビっていたワタルは、レーフェスに励まされる形で祠の中に足を踏れ、中を進んだ。
祠の奥から流れてくる生暖かい風が、ワタルの頬を撫でた。




