第7話 まじないしの武器が『短剣』って変だよね?
ミルミル村を出て、次の村を目指している。
はじまりの街からミルミル村に向かうにつれてモンスターが強くなっていた。
今、向かっている村での道中も、徐々にモンスターが強くなっているように感じる。
「げっ、グリーンゴブリンじゃん。ファイム」
嫌そうな顔をしながら、火魔法のフレイムを唱えるアシュ。
グリーンゴブリンは臭い。
とにかく臭い。
イカ臭い。生臭い。
ゴブリン系統全てが臭いという話も聞いたことがある。
近寄っているだけで、匂いが付きそうだ。
グリーンゴブリンは肥満体系。
脂がのっていて弱点である火により、現在僕たちの視界でメラメラとよく燃えている。
「アシュ。容赦ないね。ファイ2回唱えたほうがMPの節約になるのに
「分かってるけど。どうも、ゴブリンは苦手」
本当に嫌なのだろう。威力の高いファイムを選ぶほどに。
「ペルシャも、ゴブリンは嫌いにゃ。臭いにゃ。鼻が曲がるにゃ」
鼻を抑えるペルシャ。
グリーンゴブリン討伐の後、Gを拾っていると、ペルシャが近づいてきた。
「アシュにゃんは思いっきり後衛タイプにゃ。リュカは前衛タイプにゃ。ペルシャは、前衛中衛タイプにゃ。ペルシャが臨機応変に動くにゃ」
「そうだね。任せるよー」
確かに、ここまでの戦いぶりを見るにペルシャは、動きに幅がある。
この3人の中で素早さが一番高い。
攻撃力は僕に劣るが、攻撃の回数を踏まえて全然それを補えている。
たまに強いダメージを与えているときもあるように感じるが偶然であろう。
ラッキーポイント(LUP)が高いのかも。
運が高いっていいよね。
職業、まじないしなのに短剣使い。っていうのも驚き。
普通は、後衛か中衛でムチや弓を使うようだけど。
レベルが上がると不思議な力で自身の能力いわゆるステータスが上がる。
職業によって、伸びる能力にはばらつきがあるし、覚える魔法もわかれる。
普段の筋トレでも能力をあげることができるけど、レベル上げによるステータスアップの方が効率が良い。
そして、同じ魔法技を使うことにより、その魔法技の熟練度が上がり使用MPの節約や威力拡大などさまざまな恩恵を受けれることもある。
レベルアップには、経験値の入手が必要。
モンスターや人間などの生き物を亡き者にしても経験値を得ることができる。
そこら辺をとんでいるハエなんかでも、微量ながら経験値が入る。
その経験値は、討伐した者が入手することになるけど、パーティーを組むことにより戦闘に参加していなくても自動的に分けられる。
フィールド空間にいなくても経験値は入る。
経験値は、討伐した生き物の5割以上のダメージソースを与えたものが5割もらい、残りをパーティーメンバーで等分することになる。
ウーバーキングを討伐したときは、ダメージソースの全てが僕だけど、パーティーメンバーが合計2名の為、僕とアシュで5割ずついわゆる半分ずつの経験値が入った。
そのため、レベルに差はない。
今後は、三人で活動する。
毎回の戦闘で、5割の経験値をもらう者と、2.5割、2.5割の経験値を得る者に分かれるため、レベルに差が出てくることが推測できる。
因みに、職業によって、レベルアップに必要な経験値が違うとも言われている。
魔法使いは最初の方はレベルが上がりやすいけど、後半は失速する。
その逆で、斧使いは、下級職でレベルが上がりにくいけど、上級職のAXマスターになってからは、レベルの上りが早いと言われている。
アシュが、ご丁寧にも、教えてくれた情報である。
夕日が見えるころに、名もなき村に到着した。
僕たちに、馬車などのモンスターに居場所がバレてしまう大きさの目標物はない。
そのため、僕たちの姿に気づいていないモンスターを後ろから次々に討伐していった。
先手必勝。
ただ歩くだけではなく、モンスターを討伐しながらの道のりの為、時間がかかる。
職業が調教師の人をパーティーに加えたいものだ。
そしたら、タイガー系統のモンスターを従えてそれに乗り旅ができるのに。
僕たち、3人。調教師の人をいれたら、4にんか。
4人を乗せるほどのタイガーを従えている者が、僕たちのパーティーに入ったりしないね笑笑
名もなき村ということもあり、門番は、いなかった。
余談であるが、不思議な力により、街や村などには、モンスターは入ることができない。
よくできたシステムだと思う。
不思議な力さまさまだ。
「リュカ。しゅび力が下がった笑」
村に入り、ぶき屋とぼうぐ屋、おくすり屋が合体している万屋に来た。
街なんかは、ぶき屋はぶき屋。ぼうぐ屋はぼうぐ屋。
おくすり屋はおくすり屋とわかれていることが多いけど、小さな村なんかは、全部ひっくるめていることが多い。
そもそも、売り物が何もない村もある。
頭にかぶり、僕の方をみるアシュ。
「へぇー、プリティーハットか」
アシュの頭から白色がメインでピンク色の星マークの入ったプリティーハットを脱帽させ、手に持ってみた。
「MPが10上がる代わりに、しゅび力がマイナス10か」
何かが上がる代わりに何かが下がるという武器や防具、装飾品がある。
こういった品は使い方によっては、良い品である。