第5話 リュカとアシュ 『レベルが上がりました』
「ドドドドドドッッ」
足音がどんどんこちらに近づいてくる。
危ない気がする。
それに、少し空気が変わったような感じ。
「なっ、なに?水??」
足元に、水が。
さっきまでは、無かったのに
「アシュ、こっちー」
アシュの手を握り、一目散に街に向かって走った。
だが、僕たちの方に向かってきている何かは、足が速いようで、だんだん距離が近づいているように感じる。
「げっ?ちょっ。でかくない?」
右隣を走っているアシュに聞いた。
「あれって、多分、キングウーバーだよ。確か、Cランクモンスター。行く予定だった滝の近くの洞窟に住むボスと本に書いていたような、書いてなかったような」
「Cランクモンスターって、単体だとしても、今の僕たちで何とかなる敵じゃないよねー?」
「そうだよ。ここは、頑張って、街まで逃げ切るしかないよ」
『ガサゴソ』
せいっと
『ビリビリドカーン』
フィールド形成の距離までウーバーキングが来たのを確認。
バッグに手を入れ、魔法球を掴み、思いっきり、キングウーバーに投げつけた。
その後、すぐに、フィールドから抜け出し、念のために、逃げる足を止めずに街に走り続けた。
~数分後~
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
レベルが上がりましたの連打の声。
僕とアシュは互いに顔を見る。
ニヤーッとした顔を僕はしているだろう。
アシュも、にこやかな顔だ。
「アシュ。Gを取りに行くよ」
「そだね、リュカ。ウーバーキング、何かドロップしてくれてたら嬉しいな」
逃げてきた道を戻った。
28000Gを手に入れることができた。
ドロップはなかった。残念。
人生、そんなに甘くないよね。
布袋にお金を次々に入れた後、街へと戻ることにした。
歩くたびにお金がジャラジャラと音を立てる。
「ステータス」
名前:リュカ
職業:魔法使い?
LV:15
HP:102
MP:48
雷 :スパーク『使用MP4』
☆NEW☆
雷 :スパーリッシュ『使用MP15』
説明:スパークよりも威力と範囲が抜群に上がっている
回復:リカバリー『使用MP4』
☆NEW☆
闇 :デビルヘルプ『使用MP30』
説明:ランダムで不思議な空間からモンスターが助けに来てくれる。強いモンスターほど、助けてくれる時間は短い。必ずデビルヘルプを使った者の指示を聞く。
名前:アシュリン
職業:魔法使い
LV:15
HP:55
MP:95
火 :ファイ『使用MP4』
火 :ファイム『使用MP10』
☆NEW☆
火 :ファイマル『使用MP25』
説明:自身を中心にして1m離れた距離に丸い円状の炎を出す。威力はファイと同等。敵に囲まれたときに便利。
☆NEW☆
水 :レイン『使用MP4』
説明:敵単体を水でっぽうで攻撃する
☆NEW☆
水 :レイシス『使用MP15』
説明:水でできた渦で敵を拘束する。
☆NEW☆
水 :レイニャーナ『使用MP15』
説明:HPの回復する雨を降らせる。HPを徐々に回復するが、風邪には注意笑
なんか、同じ魔法使いなはずなのに、ステータスがかなり違う。
所持魔法も、僕とアシュでは、2倍近く違うし。
デビルヘルプって、MPの消費量高いだけで、需要の低い闇魔法技って言われているんだったよね。
「デビルヘルプ」
とりあえず、全部の所持魔法を試してみようということになり、デビルヘルプを唱えた。
スパーリッシュ、リカバリーは想像通りだった。
『ポヨンポヨン』
不思議な黒色と紫の混ざったバチバチとした空間から赤色のフレイムスライムが現れた。
僕のことをじっくりと見ている。
指示待ちのようだ。
「飛び跳ねて」
『ポヨンポヨン』
前後左右に飛び跳ねるフレイムスライム
「フレイムスライムって、ファイが使えるんだったよねー?」
隣にいるアシュに聞く。
デビルヘルプの欠点は。知っているモンスターじゃないと扱える魔法や特性などが分からないこと。
まぁ、戦闘中に呼び出して、適当に敵さんのモンスターを蹴散らしてとか、一番強い魔法使ってとか指示すれば大丈夫だとは思うけどね笑笑
「そうだね。それと、ノーマルスライムに比べて、少しAP(攻撃力)が高いわ」
なるほどね
「フレイムスライム。ファイを唱えて」
理解したのかわからないが、身体を左右に動かしたかと思うと、口から火の玉を出し、目の前の道に放った。
なんとなく分かった気がする。
フレイムスライムはEランクで低ランクと言える。
Eランクモンスターでも僕の指示は理解できるようだ。