第4話 リュカ スパーリッシュを覚える
「あそこに滝が見えるね。行ってみない?」
「そうだねー。行ってみよーう」
アシュの指差す方向に滝が見えた。
滝の周りって涼しいよね。
そんなに、行った回数はないけど、小さな羽の生えたモンスターが飛んでいるのを行くたびに見かけた。
そのモンスターたちは、いたずら好きなのが多かったけど、攻撃してくるわけではなかった。
「滝の周りには、ウーバールーバっていう2足歩行で歩く身長80㎝くらいのモンスターがいるから注意が必要だって宿屋で見つけた本に書いてたよ」
滝に向かい歩いていると僕の隣にいるアシュが情報を口に出し教えてくれた。
「魔法は使う?」
「水魔法を使うみたいだけど、魔力量が少なくて、水魔法の初級技レインを1回くらいしか使えないみたい」
「わかったー」
「口から、魔法を放つみたいで、口に注意だってさ。雷魔法が弱点なんだって。水回りのモンスターだからだろうね。リュカ雷魔法使えるから頼りにしてるね」
アシュはそう言って、手を繋いできた。
15歳で成人している僕たち。
この年で、異性と手を繋ぐなんて恋人とかじゃないとありえないと思う。
アシュは、そういうの気にしないんだろうね。
僕たちはいつまでも、幼馴染の関係を続けていくのだろう。
そして、互いに誰か別の人をみつけて、結婚して子供を授かって……
アシュの側に僕はいないんだろうな。なんか嫌だなー。
あれ、なんだろう?
「宝箱だ」
赤色と黄色がメインのぴかぴかゴージャスな宝箱。
様々な色のきれいな宝石が外側に埋め込まれている。
こういった宝箱は、不思議な空間から現れると言われている。
不思議な空間、とりあえず不思議な力って言えばなんでもOKてきな風潮がある気がするのも否めない。
「モンスターじゃないと思うけど、一応、石を投げて様子見てみよう」
『ドンッ』
足元に落ちていた、石を宝箱に投げてみたが、反応がない。
モンスターではなさそうだ。
宝箱の形をした『トレジャーボックス』っていうモンスターも存在する。
警戒に越したことはないが、宝箱の中にはお宝が入っていることが多い。
開けたい。開けよう。
小さな格闘を頭の中でした後、宝箱を開けた。
黄色のボールが1つ入っていた。
手に持って、ステータスと唱え、黄色のボールがなんなのか確認する。
宝箱は、俺が、中身を取り出すと音もなく煙になって消えた。
「へぇー、雷魔法スパーキングみたいだ」
「すごいじゃん。リュカ。宝箱から魔法球がでるなんて運がいいね」
魔法球とは、手に持ち念じた後に衝撃を与えることで封じ込まれている魔法が発動する球体の品。
一度、使うと使えなくなる消耗品。
宝箱での発見例しかないらしい。
因みにスパーキングは、僕の使える雷魔法のスパークの上の上の技だ。
スパークとスパーキングの間にスパーリッシュという技を挟む。
「確か、魔法球は高く売れるはず。今日、何事もなかったら、売ってしまおう」
この付近で、強いモンスターの目撃情報がないことは、はじまりの街の騎士の門番に聞いている。
魔法球を革袋に入れ、少し歩くとモンスターが現れた。
▽ノーマルスライム
▽ノーマルスライム
▽ウーバールーバ
▽ノーマルスライム
▽ノーマルスライム
ウーバールーバーが真ん中に居り、その両端にノーマルスライムが2匹ずついる。
「ファイム」
すかさず、ファイムを唱えるアシュ。
容赦ない。
「あっけなかったね」
敵がまとまっていたということもあり、ファイム一発とファイムに耐えたウーバールーバーをファイで倒すことに成功した。
今回の戦闘、僕、何もしていない。
そこら辺に落ちている石でも投げれば良かっただろうか笑
「そうだね。ウーバールーバーが結構なお金になることが分かったよ」
ノーマルスライムが1匹100Gだが、ウーバールーバーは1匹500G
モンスターの落とすGは規則性があるのかないのかわからない。
強いモンスターだからと言ってお金が多いわけではないと言われている。
経験値も同じことが言えるらしい。
『レベルが上がりました』
経験値が入ってきたようで、レベルが上がった。
新しい魔法覚えたかな?
「ステータス」
名前:リュカ
職業:魔法使い?
HP:42
MP:10
魔法:スパーク『使用MP4』
☆NEW☆
魔法:リカバリー『使用MP4』
説明:回復魔法の初期技。HPを10~20ランダムで回復する
「アシュ。僕、回復魔法覚えた。職業『神官』じゃないのに」
回復魔法は『神官(男性)』または『巫女(女性)』しか覚えられない。
「そうなの?良かったじゃん。旅が楽になる。ケガした時はよろしくね」
あっけらかんというアシュ。
「ウバァーーーーーーーー」
急に大きな怒声が聞こえた。
身の毛もよだつ叫び声。