第3話 リュカとアシュ 武器と適性度を知る
▽ノーマルスライムの群れに囲まれた
15匹ものノーマルスライムに囲まれた。
戦闘が開始すると、不思議な白色透明のフィールドが形成される。
このフィールドが形成されると、他にモンスターは入ってこれない。
この中で、火魔法を使い木なんかを燃やしたとしても、戦闘終了や逃亡などにより、フィールド解除がされると自動的に復元される。
「ファイム」
先ほど、覚えたばかりの魔法技を使うアシュ、MPが高くて羨ましい。
僕、スパーク2回使うとMP切れになっちゃうから使いどころ考えないといけないんだよね。
しかも、MPの回復速度も、アシュに比べるとかなり遅いし。
横にも縦にも大きくなったオレンジ色の火の玉がノーマルスライムを焼いていく。
僕は、アシュの放った方向とは反対方向に向かってさびれた剣を振りまくる。
もう、剣というよりも、ハンマーみたいな扱い方をしているよ。
切るんじゃなくて叩いてモンスター倒しているし。
僕もちゃんとした剣が欲しい。
「ファイム」
2回目のファイムを使うアシュ。
ペース飛ばしすぎじゃないかな?
アシュ、AP(攻撃力)低いから、MP切れになったら、正直、MP回復するまで、僕が守りながら戦うことになるんだけど。
お金が貯まったら、弓などの遠距離武器をアシュに購入しよう。
「ふぅー。疲れたね」
討伐したノーマルスライムの落としたGを回収し終わった後、攻撃を受けてHPの減った僕はキュア草を口に入れ咀嚼した。
「うぇー。やっぱり薬の味は慣れないな」
HPを回復して、傷を治してくれるキュア草。
苦いのがネックだ。
ノーマルスライムが稀にGと一緒に置いていくことがある。
いわゆる戦利品だ。
戦利品は、1つの種類のモンスターでも、数種類あると言われている。
ノーマルスライムであれば『キュア草』と『ノーマルスライムゼリー』確率はかなり低いがキュア草よりも上のランクの『キュアキュア草』を落とすこともあると聞いている。
キュア草は、草むらにも、生えている。
探せば、わざわざ街の中の『おくすり屋』で購入しなくて良くなるため、節約になる。
「一度、はじまりの街に戻る?武器買ったほうが、効率良くない?」
アシュが提案してきた。
正直、今日の宿屋代はたまっていない。
ここで、武器を購入すると、今日、最悪、野宿になりかねない。
まぁ、なんとしてでも、アシュの分は稼いで宿屋に泊まらせるけどね。
~はじまりの街の武器屋~
「いらっしゃい。どのようなものをお探しで」
若い男性が店員さんのようで、元気な声で話しかけてきた。
「どんな種類の武器がありますか?」
「武器の種類か?うちで扱っているのは、片手剣に杖、ムチの3種類だな」
ムチか。今日みたいに2桁のモンスターを相手にするなら便利だろうな。
弓がないのは残念。
「触っても大丈夫ですか?」
「いいぞ。自分で言うのもなんだが、そんな、高級品を扱っているわけじゃねぇしな。壊さなければ問題ねぇよ」
木でできた剣、杖そしてムチを手に持ってみた。
『ステータス』
剣:適正度☆☆☆☆☆
杖:適正度☆
ムチ:適正度☆
どうやら、僕は杖とムチの相性は悪いみたいだ。
「リュカ。わたし、剣の相性は☆1つだけど、杖とムチは☆5つあるよ」
剣:適正度☆
杖:適正度☆☆☆☆☆
ムチ:適正度☆☆☆☆☆
こういうことなのだろう。
「僕と真逆だねー」
「えっ?そうなの?」
「不思議だよね。同じ魔法使いなはずなのに。まぁ、それは今はいいとして、木剣、装備すると、攻撃力がサビれた剣の1.5倍だ」
手に持ち、軽く振ってみる。
良い感じだ。
スパンっと切れはしないだろうが、武器装備の補正が入る為、今後戦いやすくなるだろう。
「アシュ。買ってもいいかなー?」
「うん。いいよ。リュカの戦力上昇が目的だし」
「ありがとう。アシュ」
「お兄さん。これ、買います。それと、ホワイトウルフのミサンガも1つお願いします」
お会計場所に木でできたトレーが置いてあった。
その中に『ホワイトウルフのミサンガ』がいれてあった。
「はいよー」
購入品とお金を互いに渡した。
「じゃぁな。また来てくれよな」
お兄さんの言葉を背中越しに聞いた後、武器屋を出て、また、街の外へと出た。
「はい。アシュ、いつもありがとね」
購入したホワイトウルフのミサンガを手渡す
「えっ?いいの?てっきり、リュカが装備すると思ってた」
「MP回復速度上昇小だからね。最大MPの低い僕よりも、最大量の多いアシュの方が効果的だと思ってね」
魔法を使った後に、モンスターと再度戦うまでの間にMPが回復すれば、かなり、今後便利になる。
因みに、装飾品は2個までしかつけることができない。
無理に着けようとしても、不思議な力で自動的に弾かれてしまう。
不思議な力って、ほんと、何なんだろうね。
便利な言葉だ。
2週間前、15歳の誕生日を迎え、職業をいただくことになり教会のある始まりの街に訪れた。
その際に、巨乳のお姉さんのおっぱいを眺めていると、アシュに頬をつままれた。
僕はその際に『不思議な力によって、無理やり』と冗談半分で言ってみたのだが、ほっぺたをつままれる力が強くなった。
ちゃんと、素直に謝れば良かった。『巨乳を見ていました、ごめんなさい』と笑笑