VSガルルグル
「やぁっ……!」
モナが地獄鞭を振るう。
パァン!と空気を裂く音が鳴るがガルルグルは
ひらりと躱す。
地獄鞭から炎が吹き出すが
全く気にする様子のないガルルグル。
「…炎が効かない以上直撃させるしかないが速いからな、ガルルグルは」
腕を組むリヴィア。
「モナは……勝てるのか?」
「あの鞭だけじゃ厳しいかもしれんな……。ヴァンドラ!ガルルグルが動くぞ!」
グルルルルアァ!!
雄叫びをあげ大きく口を開き
モナに突っ込むガルルグル。
「くぅっ……!」
間一髪でモナが横跳びに躱す。
「愚かなる者を遮断せよ!地獄炎壁!!」
モナが詠唱するとガルルグルとの間に
地獄炎壁が現われた。
「やあぁっ!」
地獄鞭を一回転しながら振り回すモナ。
バチィン!地獄鞭は地獄炎壁の先の
ガルルグルを捉えた。
「…鞭としての使い方では無いがダメージは入るじゃろうな」
「もう一回……!」
モナは全身を使いもう一度ぐるりと回転する。
するとまたバチィン!と大きな音が鳴った。
「このまま……!モナが勝つ……!」
その勢いのままもう一度回転するモナ。
グルアアァッ!!
「え…!?」
地獄炎壁を正面突破し
ガルルグルがモナに飛び付く。
「モナ!!!」
「……ガルルグルにとってはあの程度の炎は目眩しに過ぎなかったようじゃ」
ガルルグルの牙がモナの腕に食い込む。
「モナちゃん!!大丈夫!?」
「あぁぁっ!!」
苦痛の表情を浮かべるモナ。
「モナー!!」
駆け寄ろうとするフューゼ。
「待て!!」
制止するリヴィア。
「リヴィア!?モナが危険だ!!」
「……ここで止める必要があるレベルなら武闘大会になぞでられんぞ」
「そんな事言ってる場合か!?」
「あの一撃でモナが戦意喪失しているのか?モナの気持ちを汲んでやれ。ヴァンドラ」
「何……!?」
フューゼがモナに視線を戻す。
必死に抵抗しているモナ。
「モナ……!!」
「こんなところで…苦戦なんてしてられない……!」
モナが地獄鞭の持ち手を
ガルルグルに向ける。
そしてそのままガルルグルの目に突き刺す。
ルルルルァァ!?
ガルルグルが飛び退き、地面でもがく。
「ごめんね…。でも、もう終わらせる……!」
モナがもがくガルルグルに手を向ける。
「愚かなる者を業火で後悔させよ。地獄箱」
詠唱した瞬間にガルルグルを炎の壁が包み込み
炎の箱となった。
グルルルォ!!
ガルルグルの雄叫びが響く。
「あがれ……!」
モナが右手を掲げる。
グルルァ!
ガルルグルの雄叫びも強くなる。
「あがれあがれ……!!」
何度もモナが右手を掲げる。
それにつれ炎の音が大きくなり対照的に
ガルルグルの鳴き声が小さくなっていく。
モナが右腕を炎に向かってかざし掌を開く。
「……笑止」
地獄箱が小さくなっていく。
そしてそのまま消失。
ガルルグルも跡形無く消え去った。
「ふぅ……」
ぺたりと座り込むモナ。
「モナ!!」
「モナちゃん!」
駆け寄るフューゼとアリス。
疲弊した表情から一転し、にこりと笑むモナ。
「フューゼ、リヴィア、アリス……モナ、勝ったよ」
「あぁ、見てたぞ。よくやった、モナ!」
モナを撫でるフューゼ。
「えへへ……」
「ちびモナもやるじゃないか」
「リヴィア……ありがとう」
「モナちゃん!噛まれたとこ見せて!治療しなきゃ!」
「あ……うん。ありがとうアリス」
こうしてモナの初めての戦闘は幕を閉じた。




