モナの試練
「シルビア……喜ぶかな…?」
「これだけいっぱいあれば喜ぶよー!」
モナがギルドスライムを地獄鞭で
次々と焼いていきそれをアリスがバッグに詰めていく。
「ギルドスライムこんなに倒して大丈夫なのか?」
「この土地の固有種なだけで数は多いからな。気にするな」
「そういえばギルドスライムって食えるんだよな?リヴィアは食ったことあるのか?」
「あんなもの食べる気にならんわ。気になるなら食べてみるといい」
「……そうだな。」
これこのまま生で食べて大丈夫なのか……?
フューゼは落ちているギルドスライムを
ひとつかみ拾った。
「リヴィア、これ少し水で洗ってくれないか?」
「いいのか?」
「ん……?あぁ、頼むよ。」
リヴィアはフューゼの掴んでいるギルドスライムに
水を吹きかけた。
「うぉ!?何で口から出すんだ!」
「どこから出しても一緒だろう?」
「いや、違うだろ……。」
「私様の口から出た事がそんなに嫌か?」
「……いや、まぁいいけど…。ありがとな。」
そういうとギルドスライムを口に入れたフューゼ。
直後に凄い勢いで全て吹き出した。
「くくっ!はははっ!!」
大笑いするリヴィア。
「おおぉぉぉ…………!!!何だこれ!?酸っぱくて苦いというか……生臭いし……!食えたもんじゃないぞ!!」
「そうだろうな。ギルドスライムは水分を含むと微量な毒を作り出す体をしておるからな。食べる時は火を通したりして極力水分を抜くのが普通じゃ」
「ど、毒!?」
「毒といってもほぼ害はない。しかしその毒はギルドスライムの体をとても不味く、臭くするんじゃ」
「知ってたのかリヴィア……!教えてくれよ!」
「聞かれてなかったからな!」
フューゼとリヴィアが
そんなやり取りをしている時だった。
「くぅっ!!」
モナの声が響く。
「どうした!?」
フューゼがすぐにモナに駆け寄る。
「あいつ……あんまり炎が効かない……!」
モナの視線の先には
僅かに炎を纏う狼のような生物。
「あいつは……!」
フューゼの上でリヴィアが驚く。
「知ってるのか?」
「ガルルグル……。ヴェグル洞窟の中に生息しギルドスライムを捕食する生物じゃが……」
「どうした?危険なのか?」
「炎を纏う牙や爪は確かに危険じゃ。しかし奴等は一生をヴェグル洞窟で過ごす。今まで外に出てきた個体など存在しない」
「何……!?」
「確実にヴェグル洞窟で何か起きているな。ヴァンドラ、進むのなら警戒を怠るな」
「あぁ、そうだな。ありがとうリヴィア。」
「……モナはどうするんじゃ?ガルルグルと戦わせるか?」
「本人次第だ。だが引けば参加は取りやめる。」
フューゼがモナに目線を向ける。
「モナ、戦えるか?」
「うん……!」
「そうか。ならモナ、あいつを倒して見せるんだ。」
「わかった……!みてて、フューゼ…!」
モナはパァンと地獄鞭を鳴らし
ガルルグルを睨みつけた。




