武闘大会
男に付いていき、大きな建物に入るフューゼ達。
「何だここ……?」
中央の広間を取り囲むように観客席みたいなものが
沢山ある……。
何をする場所なんだ……?
「ここは闘技場だ。決闘につかうこともあれば武闘大会を開く事もある。」
「武闘大会……?」
「あぁ。トーナメント制で行われる大会でな、優勝者は可能な範囲であれば王から1つ願いを叶えてもらえるんだ。その大会の観戦はギルドランドで一番人気の娯楽だ。」
「優勝すれば願いを叶えてもらえるってのは凄いな。」
「あぁ、そこで提案だ。」
男がくるりと振り返る。
「お前らその大会にでないか?」
「……何?大会にだと?」
「そうだ。お前らは何かこの国に頼みたい事があるんだろう?優勝して頼めばいい。」
「ちょっと待ってくれ。大会はいつでもやっている訳では無いんだろう?」
「いつでもやっているわけじゃ無いが今年で1番の大会が1週間後に始まるんだ。」
にやりと笑う男。
「1番……?どんな大会なんだ?」
「1か月程前に各国に対して武を示す最高の舞台を用意したと招待状を送った。すると多くの国が参加表明を返してくれてな。各国の強者での武闘大会を開くというわけだ。」
「各国だと!?グリーディアやスノーフィスもでるのか?」
「それはまだ答えられないが、参加すればわかる。」
「ちなみにヴァンドラにも招待状出していたのか?」
「もちろん。2度と送ってくるな、と返事が来たが書いたのお前じゃないのか?」
「……先代だな。俺は初めて聞いたから。」
「そうだったのか!あんな返事だったからお前らがヴァンドラだと気付いた時宣戦布告に来たのかと思ったぜ。」
大きく笑う男。
だとすると会った瞬間から
ヴァンドラだと気付いていたのか。
こいつは何者なんだ……?
いや、まずはこの大会だ。
シルビアに相談しよう。
「……シルビア、大会についてどう思う?」
「多くの国の強者を倒す事でヴァンドラ自体の名を上げる事が出来ると思いますね。今後の他国への交渉が上手く進みやすくなるかと思われます。さらにギルドランド王に協力要請を行えるのであれば一石二鳥かと」
当然ながら負ける可能性は考えてないみたいだな…。
「……でるべきだという事だな?」
「まぁ気になる事もあるのですが……少しよろしいですか?」
男の方を見るシルビア。
「あぁ、なんだ?」
「大会のルールは何かあるのでしょうか?そして勝敗の付け方はどのようなものですか?」
「ルールは1対1。反則は特に無し。ただ、大会中のみは決闘宣言を拒否する事が出来る。」
「決闘宣言の拒否ですか」
「そうだ。大会中のみ平等に進行させる為相手が宣言をしても拒否する事が出来て敗北にもならない。もちろん受けてもいいけどな!盛り上がるし!」
「では、試合の勝利判定は何ですか?」
「対戦相手の死亡、もしくは戦意喪失、判定員による戦闘不能宣言だな。」
「殺す事は禁じて無いのか?」
「本気の闘いにしか興味が湧かないからな。まぁギルドランドは世界でトップレベルの医療技術だから安心しろ!」
……死んでからじゃ遅いんだが……。
「シルビア、参加して大丈夫なのか?これ。」
「負けなければ問題ありません」
「……そうか。」
「よし!なら決まりだな!」
そう言うと奥に歩いていこうとする男。
「ちょっ、ちょっと待て!何が決まりなんだ!?」
「ヴァンドラ国の参戦だ。闘士は何人でもいいぞ。今日中にこいつに伝えてくれ!」
そう言うと男は奥に去り、
奥から顔を隠した別の男が現れた。
「連絡、報告は私が承ります。名無しなので好きな様にお呼びください。」
「……マジか。」
こうしてヴァンドラ国はギルドランドの
武闘大会に参加する事となった。