ヴァンドラとしての道
ドサッ。
シルビアの1振りによりホルホが倒れた。
「シルビア……。」
シルビアに歩み寄るフューゼ。
「申し訳ございません。殺す事は無かった。そう仰りたいのですよね?」
「…条件上避けられなかったのかもしれないが……。」
「私が追加した条件だったので……ということですか?」
暗い顔でフューゼの顔を見つめるシルビア。
俺の旅は最終的にボルシエオンとの戦いになる…。
当然相手を倒す…だけじゃなくて殺す事が
必要になる時もあるだろう。
今戦っていたシルビアを責めるのは正しいのか?
……いや違うな。
「……そこについてはあのルールにした理由だけ聞きたいかな。」
「ホルホはヴァンドラ様に対して無礼が過ぎたましたので」
「無礼を働いたから……か。まぁ態度は良くなかったが……。」
「ヴァンドラ様はもう少し制裁を下すべきです。優しさは大事ですが時には厳しく強い決断が必要です。……我等が王なのですから」
……俺のこの世界における今の立場も
しっかり意識する必要があるな。
「そうか……。確かに自分達の王が蔑ろにされたりするのは気分良くないよな。気を付けるよ。」
「いえ、出過ぎた事を申し上げました。申し訳ございません……」
「いや、ありがとう。俺もしっかり考えるよ。これから避けて通れない道だからな。」
「ヴァンドラ様……」
「あと、よく無事で戻って来てくれたな。」
頭をポンと撫でるフューゼ。
驚いた様にフューゼを見つめるシルビア。
「…………怒らないんですね」
「あぁ。よく戦ってくれたよ。強いなシルビアは!…ただ倒したホルホはどうしたらいいんだ。」
ホルホに視線を移すフューゼ。
「今すぐ治療すれば間に合うかも知れません」
「何?そうなのか?」
「最後にホルホはヴァンドラ様へ命を懸けた謝罪を述べました。なので急所を避け切り伏せました。なので今すぐ治療すれば彼の生命力次第では生き残るかもしれないです」
「……それはあの決闘のルール上大丈夫なのか?」
話に割って入る案内をしていた男。
「……命を懸けた謝罪により過去の彼は死んだ。私はそう捉えます」
「……なるほどな。お前がそういうなら取り敢えず治療させよう。……おい!急いでホルホを運べ!」
男が叫ぶとどこからとも無く駆けつけた者により
ホルホはすぐにどこかへ運ばれていった。
それをみて驚くフューゼ。
なっ……!
一瞬でホルホが運ばれていった……!
こいつただの案内人じゃないのか……!?
「まぁ、戦争国家のギルドランドは医療も高水準だ。だからあの程度なら問題無いだろう。しかし、もし起きたホルホが今の内容を拒み決闘再開を宣言したら次こそは死ぬまで戦う事になるがいいのか?」
「その時は私が勝ちますので大丈夫です」
「カカカッ!!強い奴だな!お前!!」
満足気に笑う男。
「お前達の強さをもっと見せて欲しい。早く行こう。」
男はそういうとまた案内を再開した。




