ギルドランド到着
「フュゼ様、もう着くみたいだよ!」
「んぁ……?」
しまった……気付いたら寝てたみたいだ……。
疲れがあるとはいえ示しがつかないな……。
「ありがとうアリス。」
「どういたしましてっ!」
とてとてと部屋を出ていくアリス。
そしてフューゼも外に出る。
「ヴァンドラ、今お目覚めか?」
「何?」
顔を触るフューゼ。
「隠さなくていいぞ?顔に寝てたと描いてあるからな」
「……すまないな。気付いたら寝てしまっていた。」
「何故謝る?ヴァンドラが寝ていて咎める者などおるまいて」
くくっ、と笑うリヴィア。
「…それはそうと早かったな、リヴィア。」
「当たり前じゃ。私様は約束は守るからな!もう目の前にギルドランドは見えている。ここからは手動で動かせ。」
そういうとモナのほうをちらりとみるリヴィア。
「モナ、できるな?」
「うん。任せて」
それを聞いたリヴィアが
大きく両手を開きそして力を抜くと
強かった水流が弱まっていき、そのまま
完全に手動運航に切り替わった。
そして港に到着したフューゼ達の船。
すると港から声が響く。
「遠くから見てでかいと思ったが近くで見るとすげぇでかいな!!」
「ヴァンドラの兄さん、誰かいるみたいッスよ?」
「あぁ。俺がまず見てくる。」
そういうと船から降りたフューゼ。
「おぉ!お前がこの船の代表か?」
上半身がほぼ裸の男がフューゼに近寄る。
「あぁ、そうだ。突然で悪かったな。ここの国王と話しに来た。」
「何?頭領と話し?戦争関連か?それとも宣戦布告か?」
にやりと笑う男。
「いや、宣戦布告じゃないぞ?戦争は……関連するかもしれないが……。」
「お前強そうなのに宣戦布告じゃないのか……。残念。そして戦争は関連するかわからないってどういうことだ?」
宣戦布告じゃなくて残念って……。
ギルドランドやばいな。
「結果的にある国と戦うと思うがギルドランドが関与するかはまだわからないということだ。」
「うーん……。まぁ戦争とかが関係しないと基本興味無いけどな頭領は。この国には誰が上陸予定だ?お前だけか?」
「いや、他にもいる。ちょっと待ってくれ。」
そういうと船に向かって叫び船に残るもの以外は
降りてくるように指示するフューゼ。
するとホープ以外の者が降りてきた。
「お待たせ致しました。」
「あぁ。またホープは残るのか?」
「はい、船番をするとの事です」
「あいついつも船番なんだが大丈夫か?」
「ここを守るのはオイラの仕事ッス!みんな安心していってくるッス!……と言っていたので大丈夫でしょう」
「そうか……ふふっ!」
つい笑ってしまうフューゼ。
「……どうかされましたか?」
「いや、シルビアのホープの真似似てたからついな……。」
釣られて笑うモナ、アリス、リヴィア。
「え!ちょっと!そんなに笑うのやめてくださいよ!」
「お楽しみのところ悪いがちょっといいか?」
男が割って入る。
「見た感じだから間違えてたら謝るがお前らヴァンドラの民か?」
「あぁ。なにかまずいか?」
「いや、入国自体は問題無いがギルドランドは多種多様な種族がいる。そして人族も多い。人族はヴァンドラの民をよく思ってない者も多い。それでも大丈夫か?」
……そういえば人族には嫌われていると聞いてたな。
「問題無い。」
「襲われても自己責任だ。反撃するなとは言わないが戦闘狂が多いからまぁ気を付けてくれ。」
「……忠告感謝しておくよ。」
無言でフューゼを見つめる男。
「なんだ?」
フューゼが話しかけた途端消える男。
「な……!?…………くっ!!」
ガァン!!と音が響く。一瞬で男は間合いを詰め
フューゼに拳を突き出していた。
「ヴァンドラ様!!……貴様何を!!」
「…落ち着けシルビア。ダメージは無い。」
シルビアを制止するフューゼ。
拳をゆっくり収める男。
「わりぃわりぃ!!最悪襲われても大丈夫そうか試しただけだ!気を悪くしないでくれ!」
カカカッ!と笑う男。
「ありがたいが一言あるとよかったな。」
「戦闘は突然起きることもあるからな!俺の不意打ちに対応出来ればまぁ問題無いさ!」
……掴めないな、この男。
「よし、とりあえず行くぜ!」
フューゼ達はその男に付いていき大きな建物へと
向かっていった。




