大海原での遭遇
「うおぉぉ……!早いな本当に……!!」
「くくくっ!!感謝しろヴァンドラ。褒美には期待しておくぞ?」
「褒美……ってまずい!!」
正面を指差すフューゼ。
「どうしたヴァンドラ?」
指の方を見るリヴィア。
その視線の先には中型船が1隻。
「商船か何かじゃな。装備も大したことない。沈めてしまえば問題無い。」
リヴィアが片手を前に出す。
「やめろリヴィア!敵でもないのに沈めるな。」
「……じゃあどうする?このまま突っ込んでも沈むぞあれは。」
「……躱せないか?」
「躱す!?このスピードじゃ水流だけで躱せるものか!」
「……モナも手伝う」
フューゼが声の方に振り向くと操舵輪を握り
必死に立つモナ。
「……船自体の旋回能力を使えばいけるかもしれん……。ヴァンドラ!今あの操舵輪はとてつもなく重い!モナを手伝うんじゃ!!」
「わかった!」
すぐにモナに駆け寄り操舵輪を握るフューゼ。
「私様側からみて右に水流を作る!そして突破後左に戻す!!いいな?」
「あぁ!」
「うん……!」
「それじゃあ行くぞ」
リヴィアは大きく手を右に向け振るった。
────中型船
「副頭領!!左側方から大型船が来ます!!」
「大型船が……厄介だな。敵か?味方か?」
「わかりませんが高速で移動しています!!このままでは衝突します!」
「何……!?」
望遠鏡を覗く副頭領と呼ばれる男。
「あの大きさであのスピード……!?どうなってる!?魔鉱石を使っても無理なはずだ……!!」
「副頭領!どうしますか!?」
「単なる補給任務を済ませただけだからまともな迎撃装置もない……。どうする……。ん?」
よく見ると少女が立っている……?
こちらからみて左に手を大きく広げている……。
そちらに曲がるというわけか?
ならば……。
「全速前進!正面に突き進むことにより衝突を回避する!!」
「御意に。全速前進!!」
「全速前進!!」
号令により加速を始める中型船。
「間に合え……!!」
あわや衝突するかと思われたが
お互い擦れることもなく通過する両船。
そして副頭領と呼ばれる男がちらりと大型船を見る。
あれは……。
ギルドランドの民ではない……?
いや、というよりあの風貌……ヴァンドラではないか?
おそらくこの進路はギルドランドに向かっている……。
通常ではありえぬ速度での移動……。
まさか奇襲でもかけるつもりか!?
「あの船を追え!」
叫ぶ副頭領。
「追えと言われてもあの速度じゃすぐに見えなくなりますぜ?副頭領?」
「奴らの進路はギルドランドだ!!敵襲の可能性もある!急げ!!」
「んなっ!?」
「本国ギルドランドに向け全速前進!!」
「全速前進!」
ここからギルドランドまで全速前進しても
1日はかかる……。
あの船はあれ以上の加速が無いとしても半日程か?
まずいな……。
あの大きさだとかなりの戦闘員がいるとみて
間違いないだろう。
思念鉱石を持ってくるべきだったな……。
「ガラハッド……。近隣の戦争から帰ってきていればいいが……。」




