スノーフィスの追手
フューゼの部屋に入るシルビアとフューゼ。
「あ……いい匂いがする……」
「ん?どうした?」
慌てるシルビア。
「い、いえ!それはそうとヴァンドラ様!何の勉強をされたいのですか?」
「大丈夫か?学びたい内容としてはこの世界について。とりわけ地理や文化だな。」
「なぁんじゃそんな事か。私様が教えてやるぞ?ヴァンドラ」
「え?」
フューゼが振り返るとそこにリヴィアが
立っていた。
「リ、リヴィア!貴女いつの間に!」
「くくっ!残念じゃったなぁ小娘。抜けがけはさせないぞ?」
生意気な表情で睨むリヴィアと悔しそうなシルビア。
「こら、喧嘩はやめろ2人とも。2人の知識を教えてくれないか?」
「……ヴァンドラ様の望みとならば」
すねるシルビア。
「私様は魔力混合の文化についてより深く実技してやろう」
にやにやするリヴィア。
そしてそれに反応したシルビアと喧嘩する。
……勉強しようと思ったがこの調子じゃ無理だな。
その時だった。
「敵襲ー!敵襲ッスー!!」
ホープの声が響く。
「なっ!?」
急いで甲板にでるフューゼ。
そこには大人ほどの大きさの槍のようなものが
何本も突き刺さっていた。
「何があった!!ホープ!!」
「突然あの船が撃ってきたッス!!」
ホープが指差す先には真っ白な中型船が1隻。
そして聞き覚えのある声が響く。
「ヴァンドラぁ!貴様に渡航許可はでとらんぞぉ!!」
「ハウナズオ……!!」
「我が祖国の神渦も消えておる。貴様のせいだろう!?守護神リヴィア様に何をした!!」
「……渡航許可は必要無くなった。リヴィアは…」
「よい。ヴァンドラ。私様が話そう」
遮りずいと前に出るリヴィア。
「リヴィア様……!?何故そのようなところに!?」
驚きを隠せないハウナズオ。
「貴様等が贄も寄越さず国を守れという方が悪い。それに私様はヴァンドラに惚れた。下らぬ国に止められるはずがない」
「リヴィア様…………。」
俯き下を向くハウナズオ。
「リヴィア様……いや、リヴィア!!言うに事欠いてそのような理由で祖国を裏切るとは!!ヴァンドラと共に沈めぃ!!」
ハウナズオの船の兵器がフューゼの船を捉える。
「そのような理由……?契約を甘く見すぎていないか?スノーフィスの無能が」
「個は全のために!!撃てぇぃ!!!」
ドドドドド!!
またも大型の槍のようなものが射出される。
「……ぅあ!」
モナの近くに1つ着弾する。
「モナ!!」
駆け寄るフューゼ。
「……スノーフィスの無能なる配下共よ。私様との契約を破りそしてフューゼの邪魔をしさらにはモナを傷付けるとは……」
リヴィアが片手をあげる。
「……何か来るぞ!備えぃ!! 」
「無駄じゃ。藻屑となり海に還れ。ゼーアベル」
リヴィアが手をハウナズオの船に向ける。
その瞬間にバキィと鈍い音がする。
「何事だ!?」
「船に亀裂!制御不能です!!」
そして、さらに鈍い音をたてながら
徐々に回転し出すハウナズオの船。
「貴様らを守り続けたゼーアベル。それの威力を体で味わえる幸せに感謝しながら沈め。私様を蔑ろにした罪はその程度では消えないがな」
「リヴィアぁぁぁ!!ヴァンドラぁぁぁ!!!」
回転し徐々に沈んでいく船を尻目に
フューゼたちの船はギルドランドへ進んだ。




