見下ろす世界
「ぬぁー、疲れたぞ!もう歩きたくない!!」
フューゼ達がシレネから歩き始めて10分程……。
リヴィアはどすんと座り込んだ。
「おいおいリヴィア……、まだほとんど時間経ってないぞ?」
「知らん!私様はもう歩きたくないんじゃ!」
駄々をこねるリヴィアを横目にみるシルビア。
「そんなことなら祠に戻ったらどうですか?全
く……今までどうやって移動してたんですか?」
「海を泳ぐか移動系魔法に決まってるじゃろ? うるさい小娘め。ネモーネ!」
「んぁっ!?」
リヴィアの出した水の触手魔法ネモーネが
シルビアの身体をまさぐる。
「移動系魔法……?そんなのあるのか?」
俺も使えるなら使いたいぞ……!!
ネモーネを解除するリヴィア。ぐったりするシルビア。
「あぁ。私様の場合は足元に水を纏わせ水流で移動するシュヴェールという魔法があるがヴァンドラが得意とする炎の属性は壊す事に特化しているから移動があるかはわからないな」
「そうか……。」
がっくりするフューゼ。
「なに、無ければ創ればいい。それに貴様は水魔法も扱えるのだろう?シュヴェールを教えてやろう。2人きりでな」
立ち上がりフューゼに迫るリヴィア。
「モナも魔法で移動したい……」
リヴィアが声に反応するとモナがリヴィアを
見つめていた。
「……ちょっと背中を向けなさい」
「……?」
モナが背中を向けるとピッタリと背中をくっつける
リヴィア。
「ヴァンドラ!どっちが高い?」
「えっ?」
うーん……。
あまり変わらない気もするが……。
リヴィアのほうが大きい……のか?
「リヴィア……かな?」
「〜〜っ!!」
あからさまに喜ぶリヴィア。
「しょうがないなぁ!こんなに小さい子に頼まれたら私様も断れないな!」
……リヴィアは身長気にしてるのか?
「リヴィア、今疲れて歩けないんだよな?」
「そうじゃ。歩けない」
こくりと頷くリヴィア。
「じゃあこれならどうだ?」
フューゼはリヴィアをひょいと持ち上げ
肩車をした。
「これなら歩かないでいいだろ?」
それに高い景色の方が喜びそうだし……。
「……悪くない!悪くないぞ!ヴァンドラ!!」
頭にしがみつきにこにこして足をバタバタする
リヴィア。
「おぉ……!喜んでくれてよかったが暴れると危ないぞ……!!」
「フューゼ……!モナも……!!」
フューゼの足にしがみつくモナ。
「ダメじゃ、渡さんぞここは」
「あー、順番だな。もう少し歩いたら交代だ。いいな?」
「うん!」
「……しょうがないなぁ」
暫く全員を見下ろせて上機嫌だったリヴィアが
降ろされた瞬間全員を見上げないといけなくなり
不機嫌になったのは言うまでもない。