守護神堕つ
「え?リヴィアが手伝ってくれるのか?」
「そうじゃ!私様の力で不足ということはないだろう?」
フューゼを見上げるリヴィア。
「いや不足なんてことは無いが何で手伝ってくれるんだ?」
「くくっ、だから先程から言ってるじゃろう?私様はヴァンドラ、貴様が欲しいのじゃ。私様は私様の目標の為貴様の手伝いをするだけ」
にやりと笑むリヴィア。
「な、なりません!!ヴァンドラ様!リヴィアを連れていくなど!!」
叫ぶシルビア。
「…わっかりやすいな小娘。それでなぁにが問題なんじゃ?」
「ぐっ……!リヴィア!貴方はスノーフィスの守護神、ということは国王マリーと契約を結んでいるのでは?その状態で国を離れられないでしょう?」
「そうなのか?リヴィア。」
「確かに私様はマリーと契約を結んでいる。贄を捧げる引き換えに国を守るという契約じゃ。」
「契約はそう簡単に反故に出来るものでは無いですよ。例えリヴィア、貴方だとしても一方的には出来ないはずです」
強い口調のシルビア。
「そうじゃな。一方的に、は難しいが契約主から制約を破っていればどうだろうな?」
「え……?」
「始めこそ贄は捧げられていたがマリーは島民に何のための贄かの説明もせず強制もしなかった。結果として贄の風習など根付かずすぐに廃れた。贄もなく私様が力を貸す理由がどこにある?」
「……そうなると…契約状態とは言えないですね…」
「くくっ、これで私様がこの地に縛られる必要が無いのがわかったか?残念だったな、小娘」
にやにやするリヴィアとわなわなしているシルビア。
「贄が無いと力が出ないとかあるんじゃないのか?」
贄を探しながらの旅なんて嫌だぞ……。
「案ずるな。今くらいの力なら造作もない。まぁ本気を出す時には贄がいるがな」
にっこりするリヴィア。
……その笑顔が怖いよ……。
「とりあえずマリーに報告しに戻るか。」
フューゼがみんなをまとめ戻ろうとする。
「ダメじゃ。奴には会いたくない」
フューゼを制止するリヴィア。
「え?さすがに無断でリヴィア連れ出しはまずいだろ。」
「奴の都合など知ったことか。会いに行くなら私様はついて行かないぞ」
ついていかないの一言に反応するシルビア。
「はやくマリー国王の元へ報告に行きましょう。依頼は報告するまでが依頼ですから」
「……ヴァンドラ、行ってもいいが私様は怒るぞ」
「えぇ……。」
「怒って貴様の船を沈めるかもしれんな。1人だけは助かるかもしれんが」
「…………シルビア、船だけ回収に行こう。」
「ぐっ……!!リヴィア……!!」
フューゼの後ろでシルビアをからかうリヴィア。
こうしてスノーフィスの守護神をヴァンドラが
奪取するという未曾有の事件が起ころうとしていた。




