エクシス
ちぃ……!
気付かれたか……。
「攻撃させるつもりは無い……とか言っていたがどうするつもりじゃ?」
「今みたいに何度でも中断させてやるさ。」
「ほほぅ?この炎の壁の中で私様と鬼ごっこでもするつもりか?」
「そうだな。俺には門限なんて無いから気にしないでいいぞ?」
「……癇に障る奴だ」
…しかし今の状況はまずい。
贄の力無き今どうしてもヴァンドラ程の奴を
屠るにはエクシスを省略した魔法では貧弱……。
この周囲の炎の壁も破れん……。
「エクシス……」
一気に距離を詰め再び蹴り掛かり
リヴィアの詠唱を阻害するフューゼ。
「くっ……!!」
苛付き顔を歪ませるリヴィア。
……予想通りあの大きな水を出せなければ
大した攻撃は出来ないみたいだな。
後はどう説得するかだが……。
考え込むフューゼ。
「余裕を見せおって……!ネモーネ!!」
リヴィアの手から水の触手が伸びる。
そしてフューゼの両手首を捉えた。
「うお!?あの水無しでも使えるのか!?」
……だがモナの時と比べて触手が細い……。
これならすぐに炎で解除できるはずだ!
炎を纏うようにイメージして……!
「はぁぁっ!」
フューゼの身体を炎が包む。
そして触手を断ち切ったのを確認し炎を鎮める。
「…しまった!!」
しかし、フューゼが炎を鎮めリヴィアを見据えると
そこには大きな水魔法が詠唱により具現化していた。
「さぁ、鬼の交代だ。エクシス・ヴォーア!!」
リヴィアが水魔法を何度も殴り付ける。
その度にフューゼを水の弾丸が襲う。
「ぐっ……!」
今は魔法障壁で防げているが……。
これは耐えられるのか……?
……何故効かん……。
ネモーネが効いていたということは
魔法を無力化するスキルではないはず……。
となるとダメージを防ぐ何かがあるのか。
「エクシス・ネモーネ!!」
先程より太い触手がフューゼを捉える。
「無駄だ!!」
しかしフューゼがその瞬間に
炎を纏い触手を断ち切る。
「……埒があかんな」
「じゃあ止めにしないか?」
「贄になる覚悟が決まったか?」
「いや、そんなつもりは無い。話し合いで解決したいんだがダメか?」
「ほざけ。こうなったら根比べといこうか。エクシス・ヴァール!!」
リヴィアが詠唱し水球に手を突っ込むと
水球は急激に膨張を始めた。
「何をする気だ?」
「エクシス・ヴァールは全てを飲み込む水魔法。貴様が溺れ死ぬか私様の魔力が切れるかどちらが早いかのぅ?」
「……魔力比べということか。」
フューゼも炎を纏い水魔法を瞬時に弾く。
「今の私様とはいえエクシス・ヴァールですら防いでみせるか。面白い!」
リヴィアは満足そうに微笑むとさらに
魔力を注ぎ込んだ。




