スノーフィス王
一同がハウナズオに着いていくと
1つのドアの前に着いた。
「謁見の間に着きましたぞ。メル・キャラット殿。では少々お待ち下さいませ。」
コンコンとドアを叩くハウナズオ。
「誰ですか?」
少し待つと中から女の声がする。
「防衛憲兵長ハウナズオです。グリーディアからの使者を連れてまいりました。」
「まぁ、もういらしたのね!どうぞお通し下さい」
「王からの許可がでました。どうぞ。」
ハウナズオがドアの前から離れ、キャラットが
ドアを開ける。
「こんにちは!グリーディアの使者よ。私は“マリー・カルミア”!ここスノーフィスを治めております。以後お見知りおきを」
「今回のグリーディア代表を務めておりますメル・キャラットです。よろしくお願い致します」
キャラットの名を聞いて嬉しそうに両手を
合わせるマリー。
「まぁ!貴方がキャラットさんなのね?前回の使者が持ってきて下さった甘いお土産、貴方が作ったと聞いていますの!今回も頼めるかしら?」
キャラットの両手を掴むマリー。
「あ、その!喜んで頂けて光栄です!後でお作りしますね」
「はい!ありがとうございます!……それで後ろの方々は?」
キャラット越しにフューゼ達を見つめるマリー。
「あ、こんにちは。俺はフューゼ。ヴァンドラ・フューゼだ。少しお願いがあって……」
フューゼが言い終わる前にハウナズオが
マリーとの間に武器を構え立ち塞がる。
「ヴァンドラだと?直接ここに赴くとは何のつもりだ?」
「え?渡航許可を貰いに来たんだが……。」
「今までどの呼びかけに対しても無視し続け自由勝手してきたヴァンドラが今更渡航許可だと?」
「貴様……ヴァンドラ様にいつまで武器を向けている…」
武器を取り出すシルビア。
「おい、止めろ。シルビア。」
「あなたもです。ハウナズオ。直接お話に来た方に武器を構えるとは何事ですか?」
「し、しかしヴァンドラです。」
「関係ありません。下がりなさい」
無言で武器を下ろし下がるハウナズオ。
「ハウナズオが失礼致しました。しかしヴァンドラ様がいらっしゃるとは思いませんでした」
スノーフィス王もかなり対等に接してくれるな…。
あまり悪いようには感じないぞ。
……ただヴァンドラ自体は色んな所で
好まれてないみたいだ。
「いやこちらとしても突然押しかけて悪かった。要件としてはギルドランドに向かいたいから許可を貰いに来たんだが……。 」
「ギルドランドに……ですか。目的は何でしょうか?」
「ギルドランドには挨拶に向かうだけだ。最終的にはボルシエオン帝国に向かいたい。」
「ボルシエオン帝国……。ヴァンドラ様…ボルシエオン帝国に与するおつもりでしょうか?」
「そんなつもりはないぞ。信じてほしい。ただまだそれ以上は何も言えない。」
「そうですか……」
考え込むマリー。
「真意がまだ見えないので何とも言えないですが条件を満たして下されば許可しましょう」
「ありがたい。しかし条件とは?」
「スノーフィスから1時間ほど北西に進んで頂くとシレネという小さな村があります。そこからの連絡が暫く来ていないので見てきて欲しいのです」
「様子を見てくればいいんだな。わかった。ちなみに連絡が途絶えてからどのくらい経っているんだ?」
「3日程ですね。毎日来る連絡が途絶えているので心配なのです」
3日か……。
とりあえず急いで向かってみるか。
「わかった。確認して戻ってくる。シルビア、アリス、モナ行くぞ。」
「お帰りをお待ちしておりますね」
マリーとキャラットに見送られ
フューゼ達はシレネへと向かう事にした。




