王としての覚悟
フューゼがキャラットを背負い
アリス、シルビアと共に船に戻る。
「あ、ヴァンドラの兄さん……ってどうしたんスか!?」
異変に気付いたホープが
すぐに縄はしごを降ろして島に降り立つ。
「ホープ……すまない。手伝ってくれるか?」
「もちろんッスけど……村で何が……。」
「村は壊滅してた……。全滅だ。」
「全滅……!?どういう事ッスか!?」
「ベロウズが居た。奴が全て壊していた。」
驚くホープ。
「ベロウズ……!?ベロウズ・ケイジュッスか!?なんであいつが……!?兄さん達がここに居るって事は倒したんスか!?」
「いや……奴の気紛れで皆無事なだけだ。下手すれば誰か……やられていたかもしれない。」
「ま、まじッスか……。でもあいつ相手に全員で帰ってこれるなんてすごいッスよ。」
「……あいつの気分次第だったがな……。キャラットを上に運んだら部屋に運んでキャラットが起きたら出航だ。……それまで俺は部屋で1人にしてくれ。」
「……了解ッス。」
協力しキャラットを
船内に運び入れるフューゼ達。
そしてフューゼも個室に入る。
2時間ほど時間が経ち甲板ではフューゼと
キャラットを抜いた4人が集まっていた。
「兄さん出てこないッスね……。」
「うん……キャラットも……心配」
「フュゼ様……すごく気にしてるみたいだね」
「姐さん、詳細を知りたいんスけど……。」
その時だった。
バァン!!と大きな音を立て
甲板のドアが開かれる。
驚き振り向く一同。
「キャラット……!!」
「み、皆様無事ですか……!?何故あたしは船に!?ベ、ベロウズは!?」
動転した様子のキャラット。
「落ち着いて、キャラットちゃん」
アリスが声を掛けるとハッ、と
なにかに気付くキャラット。
「フューゼさん……は?」
きょろきょろ見回すキャラット。
「フューゼさんは!?まさか!そんな!あたし達を庇って……!?」
「キャラット、落ち着いて下さい」
「そ、そんな事言ったってフューゼさんが!!」
「呼んだか?キャラット。」
声に反応し振り返るキャラット。
そこにはフューゼが立っていた。
「あ、あぁ……フューゼさん……よかっ……よかった……!!」
崩れ込むキャラットを支えるフューゼ。
「フュゼ様!!」
「ヴァンドラ様!!」
駆け寄るアリス達。
「……心配かけたな。悪かった。」
「いえ、私達が……至らないばかりに……本当に申し訳ございません……!」
顔を歪ませるシルビア。
「……どうした?」
「シルビーと話し合ったの……。私達がその、足を引っ張るから…フュゼ様を危険にさせちゃったって……。だからこれからはもっと強くなって……!」
ぽんと2人の頭に手を置くフューゼ。
「あいつの言ったことなんか気にするな。俺は足でまといなんて思ってないぞ。……今回は俺の力不足だ。」
「そんなこと無いよっ!」
「いや、そうなんだ。俺が単にあいつより強ければこんな事にはならなかった。これからしっかり力をつけないといけないと痛感したよ。」
「しかし、ヴァンドラ様!」
「俺を信じてついきてくれる皆を守るのも王の務めだ。今回の責任は俺に負わせてくれ。」
「……わかり…ました」
「これから皆を守ることの出来る力を俺は身につける。だから皆も俺に協力して欲しい。」
「もちろんッス!!」
「絶対に皆は俺が守る。聖都スノーフィスに向かうぞ。」
そして船は島を出航した。
フューゼは島に向け黙祷を捧げ、
それを見たキャラットは何をしているのか
理解はできなかったが意図を汲み取り
同じく黙祷を捧げた。




