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不穏
「よし、そろそろ島に着きそうだが……モナ上手く泊められるか?」
フューゼが問いかけるが返事がない。
……あれ?どうしたんだ?
「モナ?」
フューゼが覗き込むと青ざめた表情のモナ。
「おい、どうした?顔色悪いぞ?」
「フューゼ……何だか…ここに近付くと……嫌な感じがする……」
弱々しく声を絞り出すモナ。
嫌な感じ……?俺は何も感じないが……。
「ここまで来たから少し村に寄ろうと思っている。出来るだけ早く出航しようと思うしモナは船で休んでいて構わない。行けるか?」
無言でこくりと頷くモナ。
そして体調を案じたキャラットとホープが
操舵を代わる。
そして遂に名も無き小さな村に着いた。
「よし、錨を降ろしたら縄はしごを使って村に向かうぞ。」
「ヴァンドラの兄さん!オイラは元々船番する予定だったんでモナを看病しておくッス!」
「そうか……頼むぞホープ。」
「ウッス!任されたッス!!」
ホープとモナを船に残し一行は村へと降り立った。