決意
「ん……朝…か……。」
……やってしまった。
メルメルを食べていたらレベッカが来て……
“今日の酒は特別なものだ”みたいなこと言い出して…
断ったら“夜王のくせに飲めないのか”
って感じで煽られ……
ムキになって飲み始めたまでは覚えてるんだがそこから先がわからないぞ……。
……また暖かい感触あるしモナが来てるのか。
モナには悪いが起こすか。
「モナ、朝だぞー。」
フューゼが布団をめくると
甘い匂いがぶわっとフューゼを包み込む。
そこには薄着ですやすや眠るキャラットが居た。
「うおぉぉ!?キャラット!?何で!?」
「ん……気付いたら寝てま…し……た?」
耳まで紅くなりながら
素早く身体をおこすキャラット。
「すすすすすみません!えと!その!温かくてつい!じゃなくてですね!!そのですね!」
顔を真っ赤にし手をぶんぶん振るキャラット。
甘い匂いを振りまく柔らかな肌には汗が伝う。
「お、落ち着いてくれ。どういう状況だ?」
「お酒を飲まれているうちにフューゼさんが倒れてしまってですね!あまり酔っていなかったあたしがお部屋にお連れしたのですが……温かそうだなぁとか考えてたら……あの…気付いたら寝てて………」
俯くキャラット。
「えーっと…つまり酔っ払った俺を介抱してくれたのか?」
「そ、そんな感じですかね……」
顔をあげられないキャラット。
そして少しの沈黙。
「ありがとなキャラット。迷惑かけてすまなかった!」
頭を下げるフューゼ。
「……え?」
顔をあげるキャラット。
「飲むと酔っ払うのはわかってたんだが……1口飲むとついな…。」
苦笑いをするフューゼ。
「いえ……その…」
怒って……ない?やっぱり優しい…。
顔をどんどんと赤くしまた俯くキャラット。
「酔っ払いの介抱は疲れるよなー。布団が目の前にあれば寝てしまうのもわかるよ。」
「……ちなみに記憶が無いんだが俺は何かキャラットに迷惑をかけてないか?」
「…………」
無言で見つめるキャラット。
「キャ、キャラット?」
「あんな事をしておいて何も覚えていないんですか?」
紅く頬を染めフューゼの顔をのぞきこむキャラット。
「え!?あ、あんな事!?」
慌てるフューゼ。
「…………ふふっ!冗談ですよ。昨日の仕返しです!」
ニコリと笑うキャラット。
「…………びっくりしたじゃないか…。やられたよ。」
つられて笑うフューゼ。
「あたしはまだまだピュアですので!」
「自分で言うのか?…それはそうとキャラット、1つ頼めるか?」
「頼み事ですか?何でしょう?」
「もうじき出発しようと思う。皆を集めておいてくれないか?」
フューゼの問に対し一瞬目線をそらすキャラット。
「……………はい。わかりました!お任せ下さい!」
言い終わると同時に
振り返り部屋から出るキャラット。
「…よし!次は聖都スノーフィス……。皆を守る必要があるかもしれないし油断せずに行こう。」
フューゼは1人意思を固め部屋を後にした。




