新たな眷属
「名付けだと……?」
「あぁ!俺から贈れるものは名前くらいしかないからな。俺からの祝福みたいなものだ。」
「な…名前をくれるの……?」
困惑する合成生物少女達。
「そんな簡単に名前を……フューゼさんって本当にすごい……。」
目を輝かせるキャラット。
「む!あたしだって名付け出来るんだぞ!キャラット!」
「……?ええ。存じ上げてますよ……?」
むむむと納得のいかないレベッカ。
そんな彼女達を気にせず声を上げるシルビア。
「ちょ、ちょっと待ってください!名付けするんですか!?」
「あぁ。何か問題があったか?」
「名付けすると魔力が彼女達に完全に定着するまでヴァンドラ様の魔力が減るんですよ?」
「でも回復するんだろ?大丈夫じゃないか?」
「しかし!そのタイミングで襲われたりしたら……!」
あぁそうか。魔力障壁が無くなったりして
俺が傷つくのを心配してくれてるのか……。
ロングソードと戦った時も心配かけてるしな……。
「……どうしたら納得してくれるんだ?」
「名付け後に敵に回られては困ります。彼女達がヴァンドラ様と眷属契約を結ぶなら私も納得します」
「眷属契約……?」
首を傾げる銀髪合成生物少女。
「眷属契約というのはヴァンドラ様に一生仕え奉仕する眷属になる契約です。まぁ私は身も心もヴァンドラ様に捧げてますのでもちろん眷属契約済みですが」
ドヤ顔するシルビア。
「私はフューゼのおかげで道が開けた……。最初からフューゼに尽くすつもり」
「わ、わたしもフューゼさんに全てを捧げます!」
「んなっ…!一生よ?わかってるの?」
「問題ない。フューゼの為なら」
「眷属契約は痛いのよ?尖った歯でガブって噛まれないといけないんだから!」
「そのくらい耐えてみせる……!怖く……ない!」
「……っ!!本気みたい…ですね…。では後はヴァンドラ様に聞いてください」
フューゼの前に進む合成生物少女達。
「私をフューゼの眷属にして欲しい。そして、私に名前をつけて欲しい……!私に…!もっと新しい世界を教えて欲しい……!!」
「わ、わたしもお願いします!フューゼさん!」
「…わかった。では君達には名前を授け、眷属にしよう。……眷属契約する事になったが契約印はどこがいい?」
「契約印……?」
「噛み付いてそこに眷属である印をつける必要があるんだ。どこがいい?」
「それなら……ここがいい。ここなら怖くない…。我慢出来る……」
そう言って右肩を指さす銀髪合成生物少女。
「な、なら私は逆のここで!」
左肩を指さす黒髪合成生物少女。
「……わかった。では君からいくぞ。」
そう言って銀髪合成生物少女の
前に屈むフューゼ。
そして歯にポゥっと魔力を宿す。
「……!!」
ビクッとする銀髪合成生物少女。
「……怖いか?やめてもいいんだぞ?」
「……大丈夫。お願いフューゼ」
「…夜王ヴァンドラ・フューゼの名において君に“フュゼル・モナ”の名を与え君を我が眷属とする。」
そう言い終わると“モナ”の右肩に噛み付くフューゼ。
「……っ!!くぅぅぅ……っ!?」
手をピンと伸ばし驚くモナ。
「あぅぁぁ……///ぅぅぅ……っ…///」
フューゼが口を離すと右肩に眷属としての紋章が
浮かび上がっているモナ。
そして顔を紅くしてその場に座り込む。
「モナちゃん……!いい名前だね……じゃなくてだ、大丈夫?」
無言でこくこく頷くモナ。
「次は君だ。」
フューゼが語りかけるとビクッとする
黒髪合成生物少女。
「め、目を閉じててもいいですか……?」
「あぁ。怖いのはすぐに終わる…と思うから少しだけ我慢してくれ。」
そして黒髪合成生物少女の前で
屈み直すフューゼ。
「夜王ヴァンドラ・フューゼの名において君に“フュゼル・マコ”の名を与える。そして君も我が眷属とする。」
“マコ”にカプリと噛み付くフューゼ。
「ひっ…!ぅぅぅう!?///」
大きくビクンと跳ねるマコ。
「あぁ……///フュー……ゼさ……ん…///」
そしてモナと同じようにぺたんと
座り込むマコ。
「……よし!問題無く名付けも眷属契約も済んだな!」
「…ヴァンドラ様。体にお変わりは……?」
「今のところ特にないな。とりあえずモナとマコが復活するのを待とう。」




