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サキュバスの眷属になったと思ったら世界統一することになった。  作者: ちょび
第3章〜幻想都市グリーディア〜
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愛ゆえに

「引かないよって……何言ってるのレベッカ!?」


「グリーディアを帝国に渡すわけにはいかないからね」


「今の体で魔法装甲(マジックアーマー)なんて使ったらどうなるかわかってるでしょ!?やめて!」


「わかってるよ。……でもね、それでも帝国に屈するわけにはいかない。例え死んでもね」




レベッカ本気だ……。

途中から素の喋り方になってたし……。

このままじゃレベッカが……!!



「ヴァンドラ。最後の勝負だ」


「何?」


「この攻撃でどちらかは必ず死ぬ。」

一瞬ぐらりとゆらぐレベッカ。



「レベッカ!!」

もう体が魔力に耐えられてない……!!


「ふふっ、あたしは負けないよ。みんなを守るから」

そう囁くと右腕を大きく振るレベッカ。

風で出来た槍が現れ、それを握りしめる。


「……行くぞ!!」

ブォン!と風が音を立てレベッカの足に集まる。



……一気に勝負を決める気か?

どちらかが死ぬと言ってたがさっきから

ふらついてるし負担が大きいのか…?

何とか止めないとレベッカが死ぬな……。

殺す気はないんだがどうすればいい?

また水で止めるか……?

いや嵐狼(ストームウルフ)に水を当てて

どうなるかわからないから危ないか……?




フューゼが考えている内に魔力を

十分に足に溜め込んだレベッカ。


これなら一瞬で距離を詰めて全力をたたきこめる!

「……決める!!」

レベッカが魔力を解放しようとしたその時だった。



パァン!!

と弾けるような音が響き渡り

大きく仰け反るレベッカ。


「な…………に……?」

力が抜ける……!!

魔法装甲(マジックアーマー)が体から離れていく………!

これは……まさか………………


薄れゆく意識の中何とか後ろを振り返るレベッカ。

そこには涙を流しながら拳を握り締めたキャラット。


「なん……で…… ?キャラ……ット…………どうし…… 」

そのまま床に吸い込まれるように倒れ

意識を失ったレベッカ。


そしてすぐに駆け寄るキャラット。




……何が起こった?

何故キャラットがレベッカを…?

というか何をしたんだ……?

殴ったようにみえたが…………。


近寄ろうとするフューゼ。



「あたし達の負けです!!それを今認めます!!だから殺さないでください!!」

泣きながら叫びレベッカに抱きつくキャラット。



「元から殺す気などない。話しは後でしよう。まずはレベッカ、ロングソード、そしてキャラット、君達の治療をしてくれ。」


「……え…………?」

な……なんて言ったの今……。

治療……?


何を言っているのかわからない。

といった表情でフューゼを見つめるキャラット。



「急いでくれ。ロングソードは矢が刺さったまま時間がかなり経っている。レベッカも消耗が激しい。君も手が血だらけじゃないか。」


「あ…………」

あらためて手を確認するキャラット。

レベッカの服にはべっとりと血がついていた。


「い、いいんですか……?」


「いいから急げ。回復してから話をすればいいだろう。その代わり話しはちゃんと聞いてくれ。」


「わ…わかりました……」



「アリス!シルビア!悪いが手伝ってくれ!!」


「うん!」

「…………わかりました」


フューゼ、アリス、シルビア、そしてエルフの少年と

合成生物(キメラ)少女達が傷付いたレベッカや

ロングソードを運び出そうとしていた時だった。




「ククッ!クククククッ!!動くんじゃあない!!」

クタールの声が響く。

その手には爆弾のようなものが握られていた。

そしてピンのようなものに手をかけているクタール。


「……何のつもりだ。」


「今この状況……僕がここの王になる……!」


「何だと?」


「王が倒れた今!!この最強の武力をもつ僕こそが国で一番最強で王にふさわ……っ!!!」

クタールが言い終わる前に素早く背後に回り込み

首を噛むフューゼ。


「がっ……!!ぐっ…!!あづ……っ!!!」

ピンを抜くことも出来ず爆弾のようなものを

落とすクタール。


禁忌“命遊び”(フィジィオンメイク)……。

物質と生き物、もしくは生き物と生き物を合成し

あらたな生命を創り出す禁断のスキル。

習得するには贄を必要とする。

1.取得者が一番大切としている者の命

2.取得者を何よりも大切としている者の命

3.取得者の感情“喜、怒、悲 ”のうちの1つ


こんなスキルを持っていたのか……。

取得条件がかなりひどいな。

さすが禁忌といったところか……。

もちろん習得は拒否だ。



「ぐぅ…………ぁっ!」

牙が抜かれ座り込むクタール。


何だ……!?何をされた…………!?

この身体の熱さは何なんだ……!?

久しく感じた事ないこの熱さ……!

まさか……いや…しかしこの感情は……

間違いない……!!これは……!!


「おいクタール!」


「は、はい!!」

フューゼに呼びかけられ素早く立つクタール。


「怪我人を運ぶのを手伝え!拒否権はないぞ。」


「わ、わかったよ……!ヴァ、ヴァンドラ…様の為に!」


「あ……?」


「い、いや、頑張らせて頂くよ……。」

いそいそとフューゼから離れ

ロングソードをアリスと共に運ぶクタール。


「何だ……?やけに素直だしヴァンドラ様……?何を企んでる……。」


こうして怪我人を運びだし

グリーディアとヴァンドラ。

そしてフューゼにとって初めての戦争は

あっけなくそして圧倒的にその幕を閉じた。

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