ヴァンドラVSグリーディア
「さっきからボルシエオンボルシエオンって……関係ないと言ってるだろ……!!」
レベッカを睨みつけるフューゼ。
「ふん、口でどう言おうと貴様の言動が全てを物語っておるわ」
「なに……?」
「シラを切るか。ならばこちらから問おう。何故多種にわたる属性魔法を使いこなせる?」
「何故って……イメージを固めて魔力を放出すれば使えるだろ。」
「まともな言い訳も出来んのか。本来属性魔法とは自分が属する国や王により大きく左右されるもの。名を授かった時にその王の魔力性質がその者に流れ込むからな。簡単なものであれば得意属性と別属性の魔法も使えるであろうが攻撃等に使える高等魔法は基本得意属性のみしか使えん」
「そうなのか……?」
「チッ!あくまでシラを切るか。王である貴様であれば風狼を使えるのはまだわかる。炎の属性魔法の威力をあげる際に風の力を必要とするからそもそもヴァンドラと風属性魔法は相性いいからな。ただあのレベルの水属性魔法を何故使える?」
「だから魔力をイメージにのせて……」
チッ。
っとまた小さく舌打ちをするレベッカ。
「……では教えてやろう。この世界でごく最近多種にわたる属性魔法を操る術者が現れた。それがボルシエオン帝国の司祭、“ベロウズ・ケイジュ”だ。奴以外に多種にわたる属性魔法を使えるものは居ない」
怒りを顔に滲ませるレベッカ。
「ベロウズ・ケイジュ……。」
「奴と関わりがあるからこそ多種にわたる属性魔法を使えるのではないか?」
「信じて貰えないかもしれないがベロウズという名も初耳だ。」
一瞬ぽかんとした後呆れ顔になるレベッカ。
「あの悪名高いベロウズ・ケイジュをか!?その言い訳はさすがに通らんぞ」
ここはもう正直に話してみるしかないな……。
信じてもらえるかはわからないが……。
「……実は俺は転生してこの世界に来たばかりなんだ。それでまだよくこの世界についてわからないんだ。」
「転生……?」
少し考え込むレベッカ。
極稀に転生して別世界から紛れ込む者が
いるとは聞くがヴァンドラがそうだというのか?
仮にそうなら無礼な言動など含め理にはかなうが…
「仮にそれが真実でも何故同盟等を急に結びに来た?そして転生してすぐなぜ“ヴァンドラ”となった?転生してすぐに王だったとでも言う気か?」
「それは説明すると長くなるんだが……。」
「ふん、まぁそれが真実だとしてだ。1つ我が問いに答えよ。貴様の仲間にグリーディア出身の者はいるのか?」
「グリーディアの……?それはいないはずだが……。」
「だろうな。では貴様は敵だ」
「何でそうなるんだ!」
「風狼はな、グリーディアの秘術中の秘術。これを使う時は必ず敵として認識した者を殺す時のみだと決まっているのだ」
そうだったのか……。
…シルフは本気で殺しに来てたって事か。
「しかし貴様は生きている。ということは風狼の術者は敗北し死んでいるという事だ」
「いや、俺は誰も殺してないぞ!」
「だとしても貴様は殺すべき敵であると認識されていたという事だ」
そう言うと弓を引き絞るレベッカ。
「……っ!!アリス!シルビア!ロングソードを!」
「わ、わかった!」
檻に近付こうとするアリス。
シュパッ!
その足元に矢が突き刺さる。
「檻に近付くなら殺す。次はない」
「この子を……!ロングソードを出すだけだ!」
「その必要は無い」
「なっ!死んだらどうするんだ!!」
「我が国の兵器の事だ。貴様には関係ない」
「なん……だと?」
自分の国のために創り出しておいて
命令して戦わせて……その上傷付けておいて……
死んでもどうでもいいってことか?
「シルビア……!!アリス……!!」
「……!!はい…!」
今までに感じたことない魔力……!!
ヴァンドラ様……!本気で……!!
「グリーディアとの同盟は中止だ。俺はまずロングソードを救いたい。グリーディアの王を倒してロングソードを連れ出すぞ。」
「ヴァンドラ様!!王同士の争いとなるとそれはもう戦争になります!!」
「それでもいい。こんな国ならこちらから願い下げだ。」
「クハハハッ!!よく言ったヴァンドラよ!遂に本性を表したな!」
弓先をフューゼに向けるグリーディア王レベッカ。
「生きては返さん。同族の敵でもあり我が国の最大の障害ボルシエオン帝国の屑はここで消し去ってやる」




