対ロングソード
「あははっ!!すごい!すごいよ!ボクの攻撃…何度も何度も耐えるんだね!!」
刃の腕から繰り出されるデンプシーロール。
フューゼは防戦一方となり、ひたすら耐えていた。
「ヴァンドラ様!どうされたのですか!?」
「くっ……!!」
ロングソードが大振りになった所を見計らい
素早く距離をとるフューゼ。
「フュゼ様!!くるよ!!」
「っ!!」
ガギィッ!!
重い音が響きロングソードの腕は
フューゼの顔面を捉える。
「に、兄さん!!大丈夫ッスか!?」
「……あぁ。」
「顔に当てたのにこれも効かないんだね!びっくりしたよ!…………でも」
俯くロングソード。
「なんで攻撃してこないの?」
光を失った瞳で問いただすロングソード。
「……っ。」
「あの小さい子達を守る時にはボクに殺気を放ってたのに……今は何も感じないよ?」
「それは……。」
この子も女の子だ……。攻撃なんてできない……!
「……わかった。あの子達を殺さないとボクには何も感じないんだね?」
そう言ってロングソードが檻を出ようとした。
「……やめろ!!!」
フューゼはロングソードに向かい手をかざす。
するとロングソードと檻の間に炎の壁が現れた。
「あの子達には手を出すな……!!」
無意識に体が震えるクタール。
……これが…………ヴァンドラ……!!
夜王の殺気か…!
檻の外からでもこの殺気……
そしてあれほどの魔法を無詠唱……!!!
王クラスはやはりこれまで斬らせた奴らとは別格か…!!
炎の壁を見つめたまま薄ら笑うロングソード。
「……すごいよ…!!こんな事までできるなんて!!そして何よりその殺気!!」
手をかざしたままロングソードを睨むフューゼ。
「もっとその殺気をボクにちょうだい!!」
フューゼに勢いよく駆け出すロングソード。
「あああぁあぁぁぁっ!!」
「くそっ!」
フューゼが両手をかざし
ロングソードとの間に大きな炎の柱を作る。
「あはぁっ!無駄だよ!!」
炎の柱を切り裂き現れたロングソード。
「何だとっ!?」
咄嗟に炎の剣を作り出しロングソードの攻撃を防ぐ。
「熱い……!!熱いよ!」
「……っ!! 」
ロングソードを押し返し炎の剣を消すフューゼ。
「大丈夫か?」
「…………なんで」
「え?」
「なんで本気をだしてくれないんだあぁ!!!」
「くっ!!!」
何てプレッシャーだ !!押し潰されそうだ…!
「フューゼ!!つまらないよ!!!!」
ロングソードの腕がフューゼの首を狙う。
早い!!
……だけど見える!目はもう慣れた!!
そして高校生の時にしてた
柔道のおかげかロングソードの重心がわかる!!
ブン!!
ロングソードの攻撃は空を切る。
「ここだ!!」
そしてフューゼがロングソードの足を払う。
「うわっ!?」
そのまま体制を崩し倒れるロングソード。
「終わりだっ……!!」
炎の剣を作り出し掲げるフューゼ。
……斬られる!!このボクが!!
ザシュッ!!
フューゼはその剣を突き刺した。




