騒ぐ観戦席
「シルビィー…うわぁあん…」
顔をくしゃりと歪ませ涙を流すアリス。
「シルビアの姐さん…動きは良かったんスけどねぇ…戦神とはいえ耐久力ありすぎじゃないッスかぁ!?」
ガン!
硝子を叩くホープ。
「小娘はよくやった…アーサーはこの世界においてトップレベルの強者…奮戦しただけでもすごいことじゃ」
「えぇぇぇん…でもぉ…魔法もナイフも頑張ってたのに…アーサーは剣も使ってないんだよぉ…?」
「戦神をナメるな。並の実力者であれば拳でも瞬殺されとるわ」
「あぅぅ…」
「全く…モナの時もそうじゃったがアリスは泣き上戸か…?」
「あーーーリヴィアの姐さんもモナがヴァンドラの兄さんに負けた時泣きそうな顔してたの見たッスよー?」
にへらと笑むホープ。
「なっ…!!ちがっ…!貴様…私様を貶すつもりか…!!」
顔を紅くするリヴィア。
「あはは!リヴィアの姐さん怒ったッスか?」
「…!!ホープ…お灸を据えてやろう…エクシス…」
「はぁーい!!だめだよぉー!リヴィアちゃーん!」
「がぼっ!?」
詠唱途中のリヴィアの口にいきなり戦神気付けの入ったグラスを押し付けるアリス。
「ーっ!!?」
不意をつかれ飲み干すリヴィア。
「げほっけほっ…な、何をするんじゃ!!アリス!!」
口を拭うリヴィア。
「次はみんなが大好きなフュゼ様の番…。みんなで応援するよ!!喧嘩はだめ!!」
「喧嘩では…まぁいい、そうじゃな。ヴァンドラがあの戦神を超えるところをしかと見届けよう」
「そうと決まれば…これイくッスよぉ…!!」
戦神気付けを差し出すホープ。
「悪酔いしおって…じゃがのった!」
「よーし!!応援頑張っていこうねぇ!!」
「乾杯ッスー!!」
一気に飲み干し悶える3人。
「もう10本目…ヴァンドラ国の皆様はどうなっているんでしょうか…。下手しなくても致死量では…?お止めしても聞いて下さらないですがこれ以上お出ししていいのでしょうか…。」
次の戦神気付けを持ってきた名無しはぶるりと身を震わせた。




