貫くは
「どうしてっ…!!」
顔を歪めるシルビア。
「カカカッ…!!ヒリつくなァ!!イグニ!」
爆風が晴れ、2人の姿があらわになる。
「あぁーっと!アーサー先代頭領、吹き飛んでいない!!背を刺されたまま耐えきったぁ!!」
響くスイングの声。
ざわつく会場。
「あの距離で地獄人影の爆風とその勢いにのった地獄牙…そしてこの状況で何故笑う…!!」
ギリと歯を鳴らすシルビア。
「何故笑うかって…?カカカッ!!強者と闘うこの感覚…!笑わずにいられるか…!?」
「ぐっ…この…!」
ナイフにグッと力を込めるシルビア。
「…!?既に肉体に刺さっているナイフが動かせない…!?」
力を込め直すがナイフは全く動かない。
「不思議か?」
ニッと笑うアーサー。
「一体何を…!!」
「筋肉だ。」
「は?」
「単純に筋力で止めている。抜くことも許さぬぞ。試してみるか?」
「筋力…!?刺さっているナイフを背筋で…!?」
シルビアがナイフを動かそうとするもどの方向にも全く動かない。
「背筋だけの力ではないが…戦神の肉体…見誤ったな。イグニ。」
「くっ…!」
ナイフを離し距離を取ろうとするシルビア。
「貴女程の強者と戦えたこと、この戦神の誇りとしよう。…そしてわが誇りにかけ貴女を貫こう。」
鋭い目付きでシルビアを捉えるアーサー。
バチィ!!
「雷雲の構え…雷迎。」




