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焼き裂く牙

「シルビア大・爆・発!これは勝負あったかぁ!?」

響くスイングの声。


無言で爆発の火と煙を見つめるアーサー。


…魔力が切れていたならば防ぐ術はない。

強者だと思い我輩の魔力を足してしまったがイグニは無事だろうか…。


「ムッ…!」

その時背後から僅かに魔力を感じたアーサー。

振り返ると手に炎を宿したシルビアが迫っていた。


「なんとシルビア!アーサー先代頭領の背後から攻撃を仕掛けているー!」


「無事どころか攻撃に転じていたかッ!!」

魔力を隠し迫ってきたか…!

しかしあの拳…魔力を1番強く感じる。

一点集中…!

イグニ程の実力者の一点集中した魔力…。

受けるよりも避けた方がいいな。


アーサーが構えた時シルビアの炎が揺らめく。

「愚かなる者を食い殺せ、地獄牙(ヘルズルファング)

詠唱と共に炎が形を変え上下に開き牙となる。


「まだそんな魔力を残していたかッ!!流石だ!」

範囲が広ェ…。

これを避けようと思えば後ろしかないッ…!



ブンッ!

突き出された拳。

迫る牙を後ろに体を反らし最小限の動きで避けるアーサー。


サクッ…!

「あ…?」

背から熱を感じるアーサー。

首を回し後ろを確認するとナイフを刺しているシルビア。


「…正面のイグニは残像か…。だが我輩がイグニに気付けないとは…!」


「私自身今は魔力を纏っていませんからね。さらに存在に気付かれないよう動かず後ろでナイフを突き立てていただけ…。貴方が自分から刺さりに来たから気付けなかったのでしょう」


「ここまで魔力を感知できなくできるのか…!見事…!」


「私を褒めている場合ではありませんよ」

正面からの魔力が強くなり目線を戻すアーサー。


閉じた牙が再度開き、地獄人影(ヘルズシャドール)が淡く光っている。


「イグニ…まさかと思うがァ爆発させる気か…?」


「えぇ。流石戦神ですね。聡明です」


「カカカッ!褒めるなよ!」

…前のイグニが爆発すりゃ牙が飛んでくるだろう。

それに爆風でこの背のナイフが深く刺さる…。

この位置は…骨を抜け心臓を狙ってるなァ。


「カカカッ…!とことん我輩を悦ばせてくれる…!」


光が強くなっていく地獄人影(ヘルズシャドール)


「終わりです」


ゴオオォォォ!

豪火と化した地獄人影(ヘルズシャドール)

その魔力にのった地獄牙(ヘルズルファング)がアーサーを襲った。

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