モナ敗北
「フューゼ様…!」
駆け寄るシルビア。
「ん…まずはモナを。」
辺りを見回すフューゼ。
駆け寄る医療班にモナを託す。
「…お疲れ様でした」
「ありがとう、シルビア。」
「いえ…モナの戦いはいかがでしたか?」
「立ち回りはよかった。というより驚いたよ。地獄鞭の制御や技の展開…短期間でここまで強くなるなんてな。」
「そうですね。私も見ていて驚きました。…モナ…大丈夫ですかね…」
「魔力の暴走じゃなかったとは思うが…地獄箱を使ってくるとはな…。」
「そうですね。…ただ地獄箱を使う事は想像していましたが…」
「え?」
「前の訓練でリヴィアに対して使っていましたし、フューゼ様を本当に倒すつもりならモナの最大魔法として使わざるを得ないですからね」
「…言われてみればそうかもしれないな。俺はあのまま無理をさせるのは危険だと判断して試合を終わらせたんだ。」
「そうだったんですね。早めに試合を終わらせる判断は素晴らしいと思います。…モナを投げ飛ばして爆炎で囲まれた時は正直驚きましたが…」
「あ、あれはモナの事を俺なりに考えたんだ!!何だかモナのファンが増えてるみたいだから大技で負けたならしょうがない…的な感じにしたくてだな…!!炎は一切モナに当ててないんだ!!」
慌てるフューゼを見てクスリと笑うシルビア。
「相も変わらずお優しいですね。…仮にヴァンドラ国の王から一撃で倒されたとしても誰も失望したりしませんよ」
「そ、そうか?」
「無論です。ですから私と戦う時は気にしなくていいですからね」
「シルビアと…。」
「フューゼ様とお手合わせできるようにまずは勝ってきます」
拳を突き出すシルビア。
「シルビアの相手は…アーサー。ロングソードを圧倒した男…。」
「えぇ。ですが私は勝ちますよ。ヴァンドラの名に恥じる戦闘はしませんから」
「…あぁ!信じてるぞ!頑張ってこい!シルビア!!」
コン!
拳を合わせるフューゼ。
優しく微笑むとシルビアは踵を返して闘技場へと入場していった。




