届かぬ小さな炎
ゴオオオオオッ!!
音を立て炎壁がフューゼを包もうとする。
「この技は…!!イードルスを冥土に送った必殺技だぁーーー!まさかの大技!!どうなるのか!!!」
うぉぉおおおお!!!
盛り上がる闘技場。
「地獄箱…!?魔力を使いすぎだ…!!」
全力で勝ちにきている…!
これ以上長引かせればモナが危ない…!!
「ふぅ…!ふぅ……!!」
きつい……!
けど…フューゼなら地獄箱も抜けてくるはず…。
でもその後…!疲れているところを攻める…!!
「あがれぇ…!」
モナが手を上げる。
呼応するように地獄箱がさらに音を立てる。
その時だった。
「ああっと!!これは!!!」
「え…」
目を丸くするモナ。
気づけば目の前にフューゼが現れていた。
「へ…ヘルズル…!!」
「これ以上力を使わせる訳にはいかない。悪いな、モナ。」
スンッ!
風を切る音。
モナの視界が僅かに傾く。
「あぇ…?」
暗く染まりゆく世界。
まけ…たんだね…モナ……。
刹那に悟る敗北。
わるいな……か……。くや……し……
意識を失い倒れようとするモナを掴むフューゼ。
今までに見せてない奥の手をつかわざるを得なかった…。
そう見せれば観戦してる人からモナは強く見えるはず…。
手荒かもしれないが…このまま普通に倒すよりはモナの顔が立つだろう。
「うおおぉ!!」
ぐっとモナを握るフューゼ。
意識を失ってるから慎重に…!!
払い巻き込みの応用で頭を支えつつ優しく…!!
抱え込むようにモナを投げるフューゼ。
着地の瞬間に地獄炎壁で周りの視線を遮る!!
ゴオッッ!!
「な、なんということでしょう!!着地の瞬間に爆発したのでしょうか!?ランスロット様を一撃で沈めた投げ+爆発といったところでしょうか!?何が起きているんだー!!!」
そして俺はモナを引き上げて威力を殺す…!
すとんと着地するモナ。
ゆっくりと地に寝かせるフューゼ。
「どうせなら派手に…!」
ブオオォン!!
フューゼが両手を広げると炎壁が爆ぜた。
「なんという魔力…!!あぁっと!!姿を現しましたが!フュゼル・モナ!倒れて動けません!!」
駆け寄る判定員。
「…戦闘不能!戦闘不能です!同じ陣営だろうと関係なしの大技の応酬!!これが…ヴァンドラだぁぁ!!」
どよめきと歓声があがる。
それを背にフューゼはモナを抱きかかえて退場した。




