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翻弄される神速
身体が裂かれたシルビア。
その断面からは血肉ではなく焔が揺らめく。
「なっ…」
違和感に気付くティラコ。
ゴオオオォッ!!
しかし時既に遅く、ティラコを豪火が包む。
「グルルルァー!!」
炎の中から聞こえる僅かな悲鳴。
数秒ほど経つと炎は消え、ティラコが宙に放り出された。
どさりと落ちるティラコ。
「何が起こったのか!!炎に突っ込んでいったティラコが焼けた姿で現れた!!圧倒的な火力に水属性魔法が負けたというんでしょうか!!」
「普通なら灰になるでしょうがエクシスを纏っていましたからあの火力でちょうどよかったですね」
炎の奥から姿を現すシルビア。
「予想外の攻撃は強いですからね。奇襲が得意な貴方はよくご存知でしょうが」
倒れたティラコに話しかけながら歩み寄って行く。
「く…そ……」
「貴方は決して弱くないですが…」
ナイフを構えるシルビア。
振り下ろさずに後ろに向け腕を振る。
「グニャッ!?」
グリップを頬に貰い吹き飛ぶティラコ。
「私との相性が絶望的に悪いですね」




