武闘大会、戦死者1名
「しょ、勝負あり!!勝者はフュゼル・モナ!ボルシエオン帝国のイードルスを灰と化してしまったぁぁぁ!!」
静寂にスイングの声が響く。
ざわざわとしたざわめきから歓声に変わる闘技場。
モナはお腹を抑えながら退場した。
「モナ!大丈夫か!」
駆け寄るフューゼ。
「フューゼ…」
全身の力が抜けたように倒れ込むモナ。
「っ!!シルビア!!」
「はい!」
駆け寄り倒れるモナを受け止めるシルビア。
「モナ、大丈夫ですか?…薬はアリスの元に行かないと…」
「お腹…痛いけど…大丈夫…」
「大丈夫って…血が出てるじゃないか!」
「…ごめんなさい…フューゼ…」
目を伏せるモナ。
「なんで謝ってるんだ?」
「……イードルスを…許せなかった…。それで…地獄箱も使った…。………ころすつもりで…それで……仮面も…その……」
今にも泣き出しそうなモナ。
ぽんと頭を撫でるフューゼ。
「モナが帰ってきてくれたからそれでいいんだよ。よく帰ってきてくれたな。」
「え…フューゼ…おこらない?……おしおき…しない?」
「しないよ。大丈夫。」
優しく頭を撫でるフューゼ。
「あぅ……」
「モナはフューゼ様の生きて帰るようにとの約束を果たしたのです。それもあの強敵相手にそれをこなしたのです。胸を張っていいのですよ」
「あり…がとう…シルビア…」
そういうと目を閉じるモナ。
「モナ…!?大丈夫か!?」
「失礼しますヴァンドラ様…モナ様を治療致したいのですが宜しいですか?」
いつの間にか近くに救護班の名無しが現れ、心配そうに声をかける。
「救護班か…!助かった!シルビア!彼らにモナを任せよう!」
「…わかりました。モナをよろしくお願いします」
モナを抱えると救護班の元へ運ぶシルビア。
担架に乗せ、モナの身体を確認する名無し。
「…簡易的な確認を行いましたがこの傷なら命に支障はないでしょう。ただ…」
「ただ…?どうしたんです?」
「魔力消費が激しいですね。今は何とか気を強く持っているようですが、試合の興奮が落ち着けばすぐにでも気を失う可能性が高いですね。」
「モナは大丈夫なんですか?」
「命は間違いなく。お約束します。……武闘大会に継続して出場できるかはお約束できませんが…。」
それを聞きモナを見つめるフューゼ。
目を瞑ったまま苦しそうなモナ。
「わかった。その時は辞退させる。大会よりモナの身体が大事だからな。」
「…承知致しました。治療後にまた、お伺い致します。」
礼をするとモナを運んでいく名無し達。
それを見送るフューゼとシルビア。
「許せなかった……か。あそこまでモナが力を解放させたってことは、イードルスへの恐怖もあっただろうが何か言われたりしたんだろうな。」
「そうですね。帰ってきたら話を聞かないといけないですね。…それにしてもイードルス相手に生きて帰るどころか灰にしてしまうとは…モナの魔力はやはり潜在能力が高いですね」
「そうだな。ヴェグル洞窟の件からかなりの実力者だったからなイードルスは…最後はモナの攻撃を避けるつもりが無さそうだったとはいえあそこまで一方的に燃やし尽くすとはな…。」




